解雇選手の嘆き「感染したくなかった」 コロナ禍でも観客を入れて開催のニカラグア野球の現状

1年間の出場停止処分を受けたロビン・セレドン【写真:本人提供】
1年間の出場停止処分を受けたロビン・セレドン【写真:本人提供】

3月下旬に衝撃的なニュース、感染拡大を恐れて登録抹消を願い出たところ、チームから下された判断は…

 こうした中、3月下旬にある衝撃的なニュースが国内外に発信された。自身や家族への感染を心配し、出場選手登録抹消を願い出た同リーグの選手が、リーグから1年間の出場停止処分を受け、チームを解雇されたのだ。同リーグでは選手がチームでの出場を放棄した場合、1回目は1年間の出場停止処分、2回目は無期限の出場停止処分を課されるという規則がある。

 出場停止処分を受けたのは、ブルマス・デ・ヒノテガに所属するロビン・セレドン内野手だった。プロ4年目で21歳の同選手は、出場停止処分を受けるまで、同チームの三塁手として今季19試合に出場。打率は.281だった。地元紙「ラ・プレンサ」によると、昨年までの3年間の打率は.111、.200、.245と徐々に上昇しており、4年目の今年、レギュラー格として急成長を遂げた矢先の処分だった。サラリーは月6500コルドバ(約2万円)だったという。

 セレドンは当時をこう振り返る。「報道されたことは事実だ。感染するのが怖かったので、試合に出たくないから抹消してほしいと言った。もちろん、選手たちは皆、手を洗うなどして感染しないように心がけているが、それでも感染するのでないかと思ったんだ。でも、そう思っていたのは自分だけだったので、個人的にチームに話をした。自分も感染したくないし、家族にも移したくなかかった」

 リーグの客入り具合は試合によってまちまちで、スタンドがほぼ満席の球場もあれば閑古鳥が鳴いている球場もある。だが、どの球場でも、マスクをしている客は1割未満で数えるほどしかいない。セレドンは「今、マスクはほとんど売っておらず、入手は困難な状態。ほとんどの選手たちは(出場自粛による)出場停止処分を受けたくないと思っているし、予防に対してもそこまで神経質になっていない」と、実情を明かした。そして、自身の決断について、こう加えた。

「政府に対する質問には答えたくない。それぞれ思っていることは違うし、自分の健康は自分で守るしかない。野球を続けるのかどうかは、各自で決断すればいいと思う。皆がそう思ってくれていればよかったが、そうではなかったので自分で決断した。他国では多くの人が感染しており、亡くなっているニュースも見ている。野球はまた来年、プレーできればいい。でも、もう彼らとは一緒にやりたいとは思わないけどね」

 このニュースは地元ニカラグアではどう受け止められているのだろうか。別のチームに所属するある選手は、匿名で口を開いた。

「彼はチームのレギュラーではなく、ほとんど試合に出ていなかった。だから、単に実力不足で戦力外になったという説明をチームから受けた。感染が怖くて出場辞退を願い出たとは聞いていない。あの報道は、反政府の立場を貫くメディアが書いた嘘だ」

 コロナ禍でプレーを続けることについては「グラウンド外ではマスクや手洗いをし、感染しないよう、家族とともにしっかり気をつけている。野球をすることで感染してしまうのではないかという恐れはない。打者と捕手の距離もそこまで近い訳ではない。ニカラグアは幸い、感染者数も少ないし、できる限りのケアもしている。神様が守ってくれると信じているよ」と答えた。そしてこう言った。「私は反政府の立場ではないし、政府の良し悪しを言うつもりはない。彼らは必要なことがあれば動いてくれるだろうし、愚かなことは何もしていない。批判しているのはバカな奴らだけで、そうでない人たちは政府がやっていることを理解している」。

選手の激白に地元メディアは「正しい判断」と決断を尊重

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