【球界と共に4】球界再編から復活したプロ野球 新型コロナで再び考える球界の在り方
無観客で行われる方向性で一致したプロ野球開幕、売り上げがなくなった場合は?
新型コロナウイルスにより無観客での開幕する方向性が各球団で一致。収益の面などを含めプロ野球界は再び一つの転機を迎える可能性がある。フロント、経営者側の視点としては「最悪のケース」を考える必要もある。
「今年1年は興行は厳しいだろう。ファンに向けて球界が一体となってコロナが収まった時には12月に入っても何か形を見せることができれば。来年にもう一度、プロ野球を盛り上げるため12球団の選手が集まっての試合(オールスターなど)。仮に終息が早まった場合は100試合、Wヘッダーなど。今、選手たちがSNSなどで発信していることは非常に素晴らしいことだと思う。こういったことを含め、知恵を絞って今できること、球団だったら売り上げをどうしていくかなど。また、プロ野球界として公共性を念頭に置きコロナ予防や感染拡大防止のために何かできないかなども考えないといけない」
収益の見込みなくなれば、選手たちの年俸にも大きく影響していく。今年の年俸は去年の評価を受けてのものだ。では、来年はどうなるのか。今年は試合ができなくなると球団経営の立場から考えると「やはり大ダメージ」と語る。
「このような事態は選手を含め、皆分かっていると思う。例えば年俸5000万円以上の選手は2割カットなど色々な案が出てくると思います。球団が存続できないと元も子もない、選手も同じ船に乗っているのだから多少の我慢は必要になってくる」
一つのサンプルとして球団の年間売り上げをシミュレーションしてくれた。仮に年間の売り上げが100億円あるとして、その中で試合がなくなった場合を考える。
1 年間シーズンシート 10億円
2 シーズンチケット 20億円
3 協賛試合、スポンサー、広告 40億円
4 スタジアムなど飲食 15億円
5 放映権料 10億円
6 ファンクラブ 5億円
「球団の経費としてはチームの移動費、宿泊費、そして選手が試合の成績で得るインセンティブは払わないといけない。その中で無観客ならプラスとなるチケット関連、スタジアム飲食はほぼゼロ、スポンサー、広告関連は半分以上はなくなることが想定される。こうなると当初、見込める売り上げのうち7、8割以上はなくなる可能性も出てきます。球団経営だけではこれは補うことは厳しい。親会社の助けも勿論必要になってくる」
今年はやはり我慢の1年は続きそうだ。そして選手たちにとっては来季の給料面も通常のシーズンとは違う認識が必要になっていくるという。
「球団は選手に向け来季の契約が減俸されることについて理解してもらわなければいけない。間違ってはいけないことは1つ。これは球界全体で考えてやらないと必ず選手から承諾は得られない。資金力のある親会社のチームだけは通常、その他のチームは給料削減となれば不平、不満は生まれるのは当たり前。12球団が統一してやっていかないといけない」
後編ではソフトバンクの王会長も提言する「16球団構想」、エクスパンションについて。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)