史上最年少での達成は? 過去6人しかいない通算300犠打に迫る今宮と細川

残り4犠打のベテラン細川はどれだけ出場機会を増やせるか

 守備の負担が大きい役割でもあり、細川はキャリアを通じて下位打線を任されることが多かった。だが、所属当時の西武では片岡易之(治大)氏や栗山巧外野手、中島裕之(宏之)内野手といった好打者が上位打線に並んでおり、細川が走者を得点圏に進めて上位に回すことは重要な意味を持っていた。ソフトバンクでも同様に層の厚い上位打線へ堅実につなぐ役割を担っており、その貢献度は残してきた犠打数にも表れているといえよう。

 ただ、ベテランとなった近年は、出場試合数が減っており、バント数も減少傾向にある。それでも2017年には20試合、23打数で3犠打、2019年には31試合、8打数で2犠打と、出番が少なくなっても堅実に仕事をする技術の高さは相変わらずだ。1月に40歳となったが、今後もベテランならではの技で1軍での出場試合数を確保してほしいところだ。

 今宮は2013年と2014年の2シーズンだけで124犠打を記録するなど、1シーズンごとに積み上げる数の多さが特徴の1つ。そのペースの早さが、史上最年少での通算300犠打に王手をかけた要因の1つだろう。一方、細川は単年の数字では2011年の34犠打が最多ながら、長期間にわたって犠打を積み重ねてきた。捕手という役割を絵に描いたような堅実な仕事ぶりは、まさに職人と呼ぶにふさわしいものだろう。

 シーズンが開幕を迎えれば、300犠打まであと1つに迫っている今宮の大台到達はほぼ確実だろう。一方、細川は昨季2犠打にとどまっており、今季中に残り4犠打を記録できるかは微妙なところだ。ピンチバンターや守備固めで回ってきた打席で、犠打を決めるチャンスを生かせるかがカギになってきそうだ。

 お互いに役柄や歩んできたキャリアこそ異なるものの、ともに大台にあと一歩まで迫っているバントの名手2名。自らを犠牲にしてチャンスメイクに徹してきた両選手にとって、この記録は長きにわたってチームに貢献してきた証でもあるだろう。2020年のシーズンに、彼らが史上7人目、そして8人目の偉業を達成する瞬間が訪れることを願う。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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