10年間で13球団 元オリ助っ人右腕が語る台湾球界の現状「野球ができるだけで幸せ」

世界で唯一開催されるプロ野球リーグ 「無観客でもその価値は十分だ」

 チームではほぼ1日おきのペースで「こういう症状があったら、すぐに申し出るように」と注意喚起が促されている。絶え間ない呼びかけに「わずらわしく思っている選手もいるとは思う」と話すが、ローチは「もし僕らがシーズンを続けたかったら、健康な状態を保っていなければいけない」とリーグの取り組みを全面サポートする。

「コロナ対策は今、生活の一部として考えるべきなんだ。野球がプレーできるなら、注意喚起されることなんて、ちっぽけな代償。自分はもちろん、自分の周りの人々を健康で安全に保つためには必要なことだから」

 無観客という慣れない環境でプレーすることもまた「小さな代償」だと話す。

「もちろん、いつもと雰囲気は全然違うけど、野球ができるだけで幸せ。特にアジアのファンは応援歌を歌ったりするので、いつもほどエキサイティングではないけれど野球は野球。世界で唯一開催しているプロ野球リーグという幸運に恵まれている。無観客でもその価値は十分だ」

 5月5日には韓国のKBOが開幕する予定だが、MLBとNPBはまだ見通しが立っていない。これから開幕するリーグにとっても、CPBLの取り組みは好例となるだろう。

「台湾は国もリーグも大きくはないけれど、他の国でスポーツイベントを再開する時には、1つの例になると思う。アメリカ、韓国、日本にいる仲間たちが野球をプレーできない辛さを思うと、本当に心が痛むんだ。キャンプをしていたのに中断し、それ以降何もできない状態にいる。みんなが愛する野球をプレーできる日が1日も早くやってくることを願っているよ」

 4つのプロ野球リーグ全てで、安全な状態で試合が行われる日が1日でも早くやってくることを、今はただ祈るばかりだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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