王貞治の代打アーチ、四重殺、1イニング5奪三振… プロ野球史に残る“まさか”の珍記録

貴重な王貞治氏の代打本塁打も…

○0球セーブ

 セーブは、3点以内のリードで登板し、1/3イニング以上投げ、同点・逆転を許さずリードを守り切り試合を終了させると記録される。したがって、打者に1球も投げずにセーブが付くこともありうる。

 1980年10月2日の南海-阪急戦(大阪球場)。南海は5-3でリードした9回表2死一、三塁で、金城基泰をマウンドに送ったが、打者に対して初球を投げる前に、盗塁を試みて離塁した一塁走者・福本豊を牽制球で刺し、試合を終わらせた。金城は投球回1/3でセーブを稼ぎ、投球数は0。対戦打者数も当然0だった。

 翌81年6月4日にも同じ大阪球場で、“0球セーブ”が記録された。南海-日本ハム戦で、南海は8-7とリードして迎えた9回表二死一塁で、三浦政基が登板。三浦は打者への初球を投げる前に、一塁走者の井上晃二を牽制球でアウトにし、投球回1/3、投球数0、対戦打者0でセーブを稼いだ。

“0球セーブ”はこの2例だけ。ちなみに、「0球勝利」も理論上は起こりえる。打者に1球目を投げる前に、走者を牽制球でアウトにし、直後の攻撃で味方に決勝点が入るケースだが、NPBではいまだに記録されていない。

○868本中、たった1本の代打本塁打

 2019年シーズンの代打本塁打は、両リーグで54本。決して珍しくはないが、選手によってはレアケースになる。歴代最多の通算868本塁打を誇る巨人・王貞治は、1979年8月28日の中日戦(後楽園球場)で、一塁守備中に走者の井上弘昭と交錯し、胸を強打して途中退場。その後8試合も欠場した。9月10日の大洋戦(後楽園)で、代打で復帰。次戦の12日の阪神戦(後楽園)もスタメン落ちしたが、8回裏に二宮至の代打で登場した。池内豊に対し、カウント2-0からの3球目を一振りで仕留め、右翼席にソロホームラン。王にとっては通算831号。翌80年限りで現役を引退するが、プロ22年間でこれが唯一の代打本塁打だった。試合後には「(代打アーチを)1度は打ってみたかったんだ」とにこやかに語った。

○“代打逆転満塁サヨナラ釣り銭なし優勝決定本塁打”

 本塁打には、いろいろな“但し書き”が付くが、これほど長いものは1本だけだろう。2001年9月26日、近鉄は「マジック1」で本拠地大阪ドーム(現京セラドーム大阪)での最終戦を迎えた。相手はオリックス。2-5で9回を迎え敗色濃厚だったが、無死満塁のチャンスをつかんだ。梨田昌孝監督はここで北川博敏を代打に送る。相手投手は新人ながらクローザーとして活躍する大久保勝信。北川はカウント1-2からスライダーを振りぬき、バックスクリーン左横へ放り込んだ。

 代打逆転満塁サヨナラ本塁打は、この1発も含め8例あり、そのうち“釣り銭なし”(3点差での代打逆転サヨナラ満塁弾)は3例だが、これに「優勝決定」が付くのは、後にも先にもこの1発だけ。長い但し書きは、北川の代名詞となった。

同じ投手から2試合連続代打サヨナラ本塁打も…

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