独立リーグの今 BC福島・岩村監督が語る苦悩「選手たちの生活を守ってやらないと」

練習生の中には仕送りに頼らざるを得ない選手も…「状況としては大学生と同じ」

 いざ開幕するとしても、無観客にするのか、観客の人数を減らすのか。「どうやってチームを存続させていくか、リーグを存続させていくかっていうところを考えていかないと。飲食店や中小企業の方など大変な思いをしていると思うけど、僕らも一緒ですよ」。監督として現場でチームを率いると同時に、代表取締役社長として経営面でもチームに対する責任を持つ岩村氏の声からは、苦悩する想いがにじむ。

 元々、独立リーグでのチーム経営は容易いことではない。岩村氏も自ら地元企業を回ってスポンサーを募り、1人でも多くの観客に楽しんでもらえるよう経営戦略を立てている。その根底にあるのは、縁あってやってきた福島を盛り上げたいと願う気持ちと、NPBを目指して野球に励む選手をバックアップしたいという熱い想いだ。

 今、この状況下で、まず頭に浮かぶのは「どうにかして選手たちの生活を守ってやらないと」ということだという。

「メジャーやマイナーでも給料保証の話が出ているけど、それは独立リーグでも一緒。うちのチームは契約選手がほとんどですけど、契約選手はシーズン中のバイトが禁止されているんですよ。でも、収入が減ってしまうのであれば、3密にあたらない場所でバイトを求めているところがあれば、お願いするのも1つの手かもしれない。ただ、各チームでどうこうするのではなくて、リーグとして足並みを揃えることが大事だと思うので、話し合いになりますよね。選手の生活はもちろん、安全をどうやったら守れるのか。開幕を願いながら、13法人の代表は毎週、本当に活発に意見を取り交わしていますよ」

 契約選手の他にも、練習生という立場の選手もいる。彼らはより少ない収入で、NPBという夢を追いかけている。中には、家族から仕送りを受けている選手もいるが、この社会状況では仕送りする余裕がなくなる家庭もあるだろう。

「状況としては大学生と同じ。まだそういう話は来ていないんですけど、野球を続けられなくなる選手がいつか出るかもしれない、ということも想定しています。本当にシビアな部分ですよね。選手たちが最低限でも生活はできる可能性を何とか探っています。ただ、刻々と状況が変わり、今言っていることが明日には言えなくなることもある。前例がないから、何が正解かも分からない部分も多いんですよね」

 緊急事態宣言の延長を受け、ルートインBCリーグはどんな方針を打ち立てるのか。「選手の生活を守りたい」と願う岩村氏は、今日も解決の道を探りながら知恵を絞り続ける。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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