“世界最速”で開幕した台湾プロ野球 球団関係者が語った日本が学ぶべきもの

口元がプリントされたマスクをつけた「楽天ガールズ」【写真提供:CPBL】
口元がプリントされたマスクをつけた「楽天ガールズ」【写真提供:CPBL】

CPBLから学べることは何か、私たちにもできることはある

 さて、いまだ開幕に向けて不透明な状況が続いている日本プロ野球は、彼らの成功例から何を学ぶことができるだろうか。

 CPBL富邦ガーディアンズ球団副代表・陳昭如氏は、「各球団は連盟側と一丸になって、政府また自治体と連携を図り、コロナウイルス対策や試合運営の計画について協議して取り組む体制を取ることが重要だ」とコメント。関係者が一丸となり、シーズン開幕という一つの目標に向け、邁進していくことが不可欠だといえよう。さらに、「球場での観戦が困難な状況が続くことから、SNSやEコマース(=電子商取引)など、ファンに向けた発信力を高めることも課題になってくる」と、より一層、ファンに向けた配慮も必要になってくるといえそうだ。

 CPBLでは、同じく無観客という状況で、現在まで順調に日程が消化されている。今後に向けて、CPBL事務局長・馮勝賢氏は、現時点では観客を動員する目処は立っていないと踏まえた上で、「CPBLとして現在一番重要なのは、衛生福利部(保健省)と各自治体と協議し、政府の方針に従って、全力で防疫対策に取り組んでいくこと。お客さんを入れてのリーグ戦にあたって、コロナウイルスが終息になってから専門家の助言を受けながら、政府と自治体と協議してあらためて検討していく」と方針を語った。

 日本でのプロ野球開幕に向けては、まずは感染状況の落ち着きが大前提だ。選手や球団は、実現に向けての万全の対策を考え、関係各所と協議を重ねていくことはもちろん、私たち野球ファンにもできることはある。不要不急の外出は控え、「おうち時間」を楽しむことで、少しでも感染拡大のリスクを抑えていく。一見、小さな取り組みかもしれないが、台湾では、市民の自主的な取り組みが功を奏したことからも、この徹底が一番の策だといえよう。

 CPBL・呉志揚コミッショナーは開幕前に次のように述べた。

「しっかりと対策を練ってシーズンを開幕することによって、国民やファンに元気や勇気を与えられるよう台湾プロ野球としての社会責任を果たしたい」

 CPBLのこれまでの道のりは、まさにその言葉を体現しているといえると言えよう。

(「パ・リーグインサイト」岩井惇)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY