DeNA今永、開幕までには「最低3試合欲しい」 先発投手としての調整メド語る
高校球児へのエールも「5年後や10年後に『正解だった』と思える今にしてほしい」
DeNA今永昇太投手が7日、オンライン会議システム「Zoom」を利用して会見に応じ「開幕までに最低3試合の実戦登板が必要」などと訴えた。
昨季13勝を挙げ、チームではエース、さらに来年に延期された東京五輪でも侍ジャパンの主力として期待される左腕。自主練習では今週のアタマからブルペンで捕手を座らせ始め、この日も45球を投げ込んだ。「ランニングもスプリント気味にして、より実戦を意識した内容に変化させました」という。
だが、それは政府が緊急事態宣言を当初の予定通りこの日(7日)に解除し、間もなくチームの全体練習も再開されると想定して組んだメニューだっただけに、「緊急事態宣言が延長されると聞いたときは、正直言って、『まだ1か月もあるのか』という気持ちになりました」と落胆を隠せない。
その中で「開幕までに、実戦登板は最低3試合は欲しいですね。3回、5回、7回もしくは100球というように、段階を踏んでイニングを増やしていかなくてはならないので。欲を言えば5試合ですが、そこまで(日程的に)余裕はないかもしれない。ただ、3試合はないと、ケガをする選手が多くなるかもしれない」と見解を示した。各チームの先発ローテーション投手に3試合以上の実戦登板を確保するとすれば、全体練習再開から開幕までは、やはり1か月以上要することになりそうだ。
「例年より暖かい時期にスタートすることになるので、開幕から一気にパワーが出る分、野手なら肉離れ、投手なら肩や肘のケガが増えるかもしれない」と、より念入りな調整が必要とみている。
一方、春の選抜の中止に続き、夏の甲子園大会の開催も危惧されている高校球児に向けてメッセージを求められると、「正直言って、どんな言葉をかけてあげれば、彼らは前に進んでいけるのだろうと考えると、思いつきや生半可な言葉をかけるわけにいかない」と慎重に言葉を選んだ上で、「人生は選択の連続だと思う。大会が開催されなければ、そこで活躍できるはずだった人、プロや大学に進めたかもしれない人の人生に影響するかもしれない。それでもモチベーションを保って、5年後や10年後に、『自分がやってきたことは間違いではなかった』、『正解だった』と思える今にしてほしい」と語った。
今永自身も「思い通りの練習ができず、対応を求められている現状は、国際大会に似ていると思う。そういう舞台(東京五輪などの国際大会)では、神経質になり過ぎず、できないことはできない、やれることはやると割り切ってやっていかないと、結果を出せないので」と、置かれた状況を努めて前向きにとらえようとしている。“意識高い系”といわれる今永の姿勢は、先行きが見えず苦しむ高校球児らにとっても手本になるかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)