日ハム鶴岡が模索する兼任コーチの在り方 改めて抱く恩師への尊敬の念

選手とコーチの比重を問われ「選手10割、コーチ10割って感じ」

 コーチ兼任の中嶋を追い越してレギュラーをつかんだ鶴岡が、今度は恩師と同じ立場で悪戦苦闘している。鶴岡がテスト入団から這い上がる過程を見てきた者としては、感慨深いシチュエーションである。鶴岡がコーチ兼任になったのも中嶋と同じ37歳の時。兼任1年目の昨季は、前年から66試合少ない35試合の出場にとどまった。チームも5位に沈み、契約更改の席では選手としてもコーチとしても満足な仕事ができなかったことを球団に謝罪した。

 今、鶴岡が指導する清水優心は23歳、宇佐見真吾は26歳。中嶋が一回り下の鶴岡を育てたように、鶴岡も年の離れた若手育成が命題になる。

 中嶋の偉大さを実感した上で、鶴岡は自分なりの兼任のあり方を模索している。契約更改後の会見ではこんな話をしていた。「同じようなことをやろうとしたらできないので。僕は僕なりに彼らがこの後十何年と野球界で活躍するための手助けしたいと思う反面、『そう簡単には試合に出れないよ。お前ら隙見せたら俺がいつでも行けるよ』というプレッシャーを与えながらやっていきたいですね」。自らが高い壁となり続けることで、レベルアップを促すつもりだ。

 選手とコーチの比重を問われるとこう答えた。「(昨季)開幕前までは選手9割、コーチ1割ぐらいの比重でやるんだろうなと思っていましたけど、終わってみたら選手1割、コーチ9割ぐらいに逆転した感じでした。それがいいのか悪いのか別にして、やらないといけないことはチームが勝つために働くこと。僕が選手で試合に出ている時は選手としてチームが勝つためにいろいろ考えてやらなきゃいけないし、コーチとしてベンチにいる時は若いキャッチャーがちゃんと自分の実力を発揮できるようにサポートしていかなきゃいけない。選手10割、コーチ10割って感じですかね」。兼任2年目の鶴岡がどんな形で捕手陣を引っ張っていくのか注目している。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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