球児の進路、心のケアは? 夏の甲子園中止から見えた高校野球5つの課題

日本高野連は第102回全国高等学校野球選手権大会の開催中止を発表した
日本高野連は第102回全国高等学校野球選手権大会の開催中止を発表した

球児の心のケア、進路への影響など課題は多い

 日本高野連は20日、選手権運営委員会を開き、新型コロナウイルス感染拡大の影響で第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕予定、甲子園)の戦後初となる中止を決定した。異例の事態は今後どういった事態を招くのか。今後起こりうる5つの課題を検証した。

1.球児の心のケア

 最後の夏を目標に3年間努力を続けてきた選手にとって、目標の喪失は大きい。燃え尽き症候群に陥らないためにも、何かしらの区切りとなる大会や試合を設けるべきだが、選手個々人によって事情は様々だ。中には「甲子園での全国大会でなければ気休めにしかならない」と話す強豪校の例もあり、単なる引退試合だけでは片づけられないケースもある。

 また、選手権大会の中止を受けても地方大会は開催する方針の地方高野連も多いが、無観客での開催を想定し選手の自費での大会運営を検討する県、日本高野連に倣って地方大会も中止する県など地域的な格差も発生している。

2.進路への影響

 高校球児の中には、大学や社会人野球、ドラフトを経てNPBや独立リーグなど上の舞台でプレーを続ける選手も多い。進路やその先の人生の選択肢として野球を選んできた高校生にとって、夏の選手権中止はそのアピールの機会が奪われることにつながる。

 大学野球のスポーツ推薦枠やセレクション参加資格には全国大会出場経験や地方大会でのベンチ入りなどの条件が設けられている場合が多く、なかにはすでに野球での入学をあきらめ受験勉強を開始いている生徒もいる。また、強豪校の中には高校入学時点で卒業後の進学の面倒を約束しているケースも多く、何とか選手を取ってもらおうと自身のコネクションを活用し大学側への売り込みを始めた監督も多い。

経済的な損失は約672億4415万円と試算

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