「今こそ球界は1つに」「独立Lが受け皿に」BC福島・岩村氏が球児救済に寄せる想い
「勝つ喜びはもちろん、負けた悔しさも味わわせてあげたい」
自身も現在、独立リーグの今季開催に向けて、毎週行われる代表者会議に出席。感染リスクを配慮し、選手や関係者の健康を守らなければならない「大人の事情は百も承知」だ。また、インターハイが中止となったり、大学生や中学生、小学生を対象とした様々な大会が開催中止となるなど、「発表の場を失っているのは野球だけじゃないことは大前提にある」とも理解している。
「でも、もちろん自分は野球をやってきた身。野球でお世話になって今の立場がある。だからこそ、甲子園という目標を失ってしまった子たちに対して、何ができるのかを考えたいですね。夏の甲子園に出られるのは、47都道府県で49校しかない。スポーツは勝負の世界。勝者と敗者が生まれるけれど、勝って甲子園に出場するチームは、負けたチームに対する思いやりや、彼らの分もという想いを学ぶ。僕自身は3年生の時、愛媛県大会の準決勝で松山商業に敗れた、あの悔しさがあったから、ここまで来られたのが事実です。なので、勝つ喜びはもちろん、負けた悔しさも味わわせてあげたいというのがありますよね」
同じ甲子園に行けないということでも、負けて行けないことと、勝負の土俵にすら上がれないのでは、全く意味は異なる。「チャンスが与えられての『行ける行けない』ではなく、チャンスすら与えられない状況なので、本当に迂闊な言葉はかけられないし、簡単な言葉もかけられない。かけられる言葉って、よくよく考えてみると……難しいですね」と言葉を詰まらせる。
「福島であれば、聖光学院の子たちは14年連続出場がかかる中で、それができなくなってしまった。春の選抜が決まっていた磐城高校の子たちは、中止になった無念さを『夏は必ず……』と切り替えてやっていたと思うんですよ。我が母校の宇和島東も、去年の夏は甲子園に出たけれど春は出られなかったので『今年の夏こそは』という気持ちだったと思います。
僕の身近にもこういう高校はたくさんあるわけで、全国の球児が夏に大きな思いをかけていたと思うんですよ。それがなくなってしまうと、心のケアも含めて、どんな代替案が必要なのか、可能なのか、もっともっと大人が考える必要があるんじゃないかと」