「契約がない中でも野球をやっている」田澤純一が球界復帰への思いを激白

帰国後は日々の成長を求めてトレーニング 無所属も「今はそれどころじゃ…」

 現在は週5日、トレーナーと一定の距離を保ちながら、トレーニングやキャッチボールなどの練習に励んでいる。「目に見えないウイルスという敵との戦い。強度を上げすぎれば身体の免疫が落ちてしまうので、土台作りを必要最低限やっている感じですね」と話す。

 5月25日に日本全国の緊急事態宣言が解除され、NPBは6月19日の開幕が正式決定した。NPBに所属する選手には「ゴール」が見えたが、田澤にはまだ見えていない。ゴールが見えない中での練習は「難しいところはあるんですけど……」と切り出すと、こう言葉を続けた。

「正直、野球をやっている人にとって、開幕がいつになるか分からないという経験はあまりない。でも、そこは自分ではどうにもできないことなので、自分は何ができるかを考えています。僕は、ここ何年かオフになると筑波大にお邪魔して、自分の身体を操れるようにトレーニングを積んでいますが、まだできていない課題も多い。だから、僕の中ではもう一度、身体を見つめ直すいい機会だと位置づけて、オフにできなかったことに取り組んでいます。試合がないとか辛いとか考えると難しくなってしまうので、少年野球の子供じゃないですけど『今日はこれができるようになった』『先週よりも動くようになった』とか、1つ1つ積み重ねている感じですね」

 この姿勢は筑波大でトレーニングを積み始めてから変わらず。「ピッチングが上手くなるためにはどうしたらいいか、身体がもう少し上手く使えるようになるにはどうしたらいいか、そこに集中できているんじゃないかと思います」と話す声は力強い。

 ただ、契約はあるけど試合がないのと、契約がないのとでは、置かれた立場はもちろん、心持ちも変わってくる。「無所属」であることについて聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「だって、どこの球団も今はそれどころじゃないですよね。だから、僕のワガママでエージェントに『契約が……』って言うのは、おこがましい話かなと。もちろん、契約はないよりあった方がいいのは間違いないですけど、今は考えてもしかたないのかなと思うので、我慢です(笑)」

 マウンド上では内角を恐れない強気のピッチングを見せるが、マウンドを下りると普段は人一倍、周囲に気を遣う。そんな田澤らしさは、渡米した12年前からまったく変わらない。

12年前と変わらぬスタンス「僕はアメリカが上とか、日本が下とか考えているわけじゃない」

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