鷹ファンが待ち望む7年目の再覚醒 上林誠知から滲み出るブレークの予感
2日のオリックス戦で3安打2打点と結果を残した上林
ソフトバンクの上林誠知外野手がスタメン獲りへアピールを続けている。2日に行われたオリックスとの練習試合。「6番・右翼」で出場した上林は先制打、勝ち越し打と2本の適時打を含む3安打2打点の活躍。チームの全打点を叩き出し、工藤公康監督からは「いい結果が出ている以上は開幕に出る確率は高くなる」と、開幕スタメンへ近づいていることを示唆するコメントまで飛び出した。
この日の上林は4回1死一塁でオリックス2番手・村西から左中間を破る二塁打を放った。松田宣は一塁から一気に生還。三塁を狙った上林はアウトになったものの、先制打となった。7回の第3打席でも安打を放ち、同点に追いつかれた8回にはこの日3本目の安打。2死一、二塁で神戸から中前への勝ち越し適時打を放って決勝点を生み出した。
両チームでただ1人のマルチ安打となる3安打2打点。試合後に「オープン戦から良かったし、休みの間もいいイメージを保ちながら、新しいものに取り組みながら来ていたので、紅白戦でも打てていたので、それをそのまま出してるだけなので」と淡々と話す姿には現時点での充実度が伺える。
上林にとって、今1番大きいこと。それは何よりも痛みなくプレーできていることだという。昨季は序盤に右手甲にデッドボールを受けて骨折。痛みを抱えたままプレーを続け、それが打撃の狂いを生み、痛みを長引かせることになった。それがようやく癒えて戦える今。「手が痛くないっていうのが1番の心の支え。去年はもう勝負にならなかった。その不安がないというのは、精神状態は安定していますし、集中してできています」と語る。
もちろん打撃にも磨きをかけている。今季は一発への想いを捨て、安打と外野手の間を力強く抜く打球を理想とする。この日の4回の先制打はまさに左中間を鋭く抜く当たり。タイミングを取る際も足の上げを小さくした。「大きいのというより低い打球をと言ってきている。ブレが少ない分そうしている」。高い確率でバットにコンタクトさせ、野手の間を抜く。そのスタイルが今の結果に繋がる。
紅白戦からコンスタントに安打を打ち続けており、現時点ではスタメン右翼手の最有力であると言って間違いない。工藤監督も「みんなに結果で判断させてもらうと伝えていますので、いい結果が出ている以上は彼が開幕に出る確率は高くなると思っています」と話し、活躍には目を細めている。
今年の上林にあるのは、覚悟や使命といったものだ。「やっていけるというか、やらないといけないと思っている。ライト上林のイメージを植え付けられるようにやるだけ。普通にいけば出ないといけないと思っている。結果を残し続けないといけない。去年の思いも含めて強い気持ちで、半年やっていきたいです」。その打撃センスはホークスファンであれば、誰もが分かっていること。怪我さえなければ……。上林誠知はきっとやってくれる。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)