西武與座が開幕ローテ入り! “絶滅危惧種”アンダースローを守れるか?
過去には山田久、杉浦、秋山、渡辺俊らが躍動、現在は楽天・牧田、ホークス高橋礼ら超少数派
西武の與座海人(よざ・かいと)投手が、“絶滅危惧種”のアンダースローの系譜を守る。7日にメットライフドームで行われた中日との練習試合に先発し、4回4安打1奪三振1失点。開幕ローテーション入りを決めた。
辻監督が「先発と考えている。低めに投げる力を持っている」と明言すれば、西口投手コーチも「與座らしい投球を見せてくれた。本人も少しずつ自信をつけていると思うので、期待したい」と目を細めた。
プロ1年目の2018年オフに右肘のトミー・ジョン手術を受け、いったん育成選手に降格。昨オフに支配下選手に復帰したばかりの苦労人で、本人は「投げられない時が長かった分、今がすごく楽しい」と感慨深げ。「ここが終わりじゃないので、ここから結果を出していくのが野球選手としての仕事なので、地道に目の前の1人ひとりを抑えることを第1にやっていきたい」と続けた。
岐阜経大1年の時にサイドスローから転向したという、今どき珍しいアンダースローで相手打者を幻惑。日本プロ野球史をひもとくと、かつては通算284勝の山田久志氏、日本シリーズ4連投4連勝の杉浦忠氏、大洋(現DeNA)を球団創設初優勝・日本一に導いたエース秋山登氏、通算221勝の皆川睦雄氏、阪神のエースとしてV9巨人に立ち向かった上田二朗氏ら、アンダースローの大投手が綺羅星のごとくいた。西武でも“兄やん”こと松沼博久氏、高橋直樹氏らが活躍した。そのフォームには独特の美しさがあり、アンダースローを「サブマリン(潜水艦)」と呼ぶのも言い得て妙だ。
しかし近年はめっきり減り、印象的な活躍をしたのは元ロッテの渡辺俊介氏くらい。現在は、元西武で今季3年ぶりに日本球界に復帰した楽天・牧田和久、與座と同い年でプロ入り同期のソフトバンク・高橋礼、ヤクルト・山中浩史と片手に余る。
昔から右のアンダースローは、左打者に弱いといわれる。球の出どころが見やすいからだが、中日はこの日、両打ちのアルモンテを含めスタメン9人中7人を左打者が占めながら、與座を捉え切れず。與座は「学生の時から、左打者を並べられることは頻繁にありました。特にこうしようというのはあまりなくて、しっかり内外角を攻めることができれば打ち取れるという成功体験があるので、意識していません」と事もなげ。球界にサブマリン・ブームを巻き起こす担い手になるかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)