山賊打線に加わりそうな“口髭の男” 一心に山川の背中追う西武・川越の存在感

西武・川越誠司【写真:荒川祐史】
西武・川越誠司【写真:荒川祐史】

辻監督「誰かが故障や不振なら」スタメンも

 西武が誇る山賊打線に、口髭を蓄えたイカツイ顔の男が、左の代打の切り札として加わりそうだ。川越誠司外野手は9日、メットライフドームで行われた楽天との練習試合に途中出場。5-5の7回1死一塁で迎えた最初の打席で、右中間へ決勝2ランを放った。

 楽天の4番手・寺岡がカウント1-0から投じた、真ん中高めの144キロ速球を一閃。「自分の場合は長打を求められると思うので、初球から思い切って振っていこうと心がけています。いつも通りファーストストライクを打ちにいった結果が、ホームランになりました」とうなずいたが、「開幕まであと1週間ちょっとしかない。残りの練習試合5試合でしっかり結果を残し、開幕1軍にいられるように頑張りたい」と浮かれる様子は皆無だ。

 北海学園大から2015年ドラフト2位で投手として入団したが、1軍登板がないまま昨季から外野手に転向した。2軍で8本塁打を放ったものの、1軍出場はならず。シーズンオフに、チームの主砲で2歳上の山川に弟子入りし自主トレに参加した。キャンプやオープン戦の試合後にも、2人で居残り練習に取り組む姿が見られた。新型コロナウイルスの感染拡大による自主練習期間中も、山川のトレーニングメニューにならい、「下半身を中心に鍛えて、尻が一回りデカくなりました。去年と違い、足に疲労がたまりにくくもなっています。(山川のメニューは)めちゃくちゃキツクて、めちゃくちゃ効果があります」と実感。一心に山川の背中を追っている。

 決勝2ランを放った打席では、新しい登場曲として線香のCMソング『青雲のうた』を初めて流したが、これまた当然のごとく「山川さんにチョイスしてもらいました。結構気に入っています」。

 辻監督は「川越、鈴木(将平外野手)には期待してます。(スタメンの外野手には)今のところスパンジー(スパンジェンバーグ)、木村、金子と3人そろっているが、誰かが故障したり調子が悪いとなれば、この2人が十分代われるほど成長を見せてくれている」と高く評価する。とはいえ、今月30日に27歳となる川越は遠回りをした分、1、2年目の若手のように悠長に構えてはいられない。“青雲の志”を抱き、一気に1軍公式戦初出場からレギュラー奪取までを狙う。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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