なぜ工藤監督は高橋礼の開幕ローテ入りに慎重か? 避けたい再離脱と台所の余裕
ローテの残る3枠を5人が争う状況も高橋礼の中継ぎ起用を可能にする
高橋礼自身も「あまり自分の中で納得できる内容にならなかったな、と。自分的には全然強いボールいっていないなと思うんですけど」と語るように、自分が思い描くイメージとボールが一致していないよう。「キャッチャーの方も大丈夫と言ってくれる。自分の感覚というのはそこまで大事じゃないかもしれない」とも語るが、本来の姿ではないと言えるだろう。
その状態で果たして見切り発車的に先発させるのが、チームにとって得策なのかどうか。120試合の短期決戦となる以上、最も避けたいのは再び故障し、長期的に戦列を離れてしまうこと。そうなるくらいならば、慎重を期して調整させ、万全の状態に戻ってから先発ローテに戻すことも賢明な判断だと言える。
そして、幸いにも、高橋礼が開幕ローテから外れたところでローテが埋まらないということがない台所事情にある。当確なのは開幕投手の東浜、和田、新助っ人のムーアの3人。残る3枠を高橋礼、バンデンハーク、石川、二保、松本の5人が争う構図になる。仮に高橋礼を開幕ローテから外したとしても、十分に枚数は足りる現状にある。
例え、高橋礼を中継ぎに置くとしても、それはあくまでも後の先発復帰のための措置であって、“配置転換”するのとはワケが違う。開幕は中継ぎ(というよりも第2先発の立ち位置か)でスタンバイさせ、中継ぎ登板を経て、本来の高橋礼のあるべき姿へと戻していく。状態が万全に戻ったと判断すれば、先発ローテに組み込んでいこうということだ。
練習試合は残る5試合。高橋礼はこの日が練習試合では最後の登板機会となるはずである。残る投手たちの状態を見極めた上で、工藤監督はいかなる決断を下すのか。ソフトバンクの開幕ローテ争いに注目だ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)