西武辻監督「“野球あるある”でね…」 山賊打線沈黙もニール粘投で開幕戦勝利
打高投低のチームカラーも開幕戦は投手陣完封リレー
■西武 3-0 日本ハム(19日・メットライフ)
西武と言えば、昨季まで2年連続でチーム打率がリーグトップ、チーム防御率はリーグワースト。典型的な“打高投低”で連覇を成し遂げた。今季もその傾向に変わりはないとみられているが、あに図らんや、19日にメットライフドームで行われた日本ハムとの開幕戦は打線が沈黙して4投手による完封リレー。3-0で制し“逆の目”が出た。
笑いが止まらない。西武の強力“山賊打線”は、日本ハム先発の有原に3回まで無安打無四死球無得点のパーフェクトに抑えられていたが、4回に新外国人スパンジェンバーグの来日初安打をきっかけに無死満塁とすると、山川のボテボテの三塁適時内野安打、フォークのすっぽ抜けが外崎の左肘をかすめた押し出し死球、栗山の三ゴロ併殺崩れと幸運が続き、一気に3点を挙げた。結局、両軍を通して点が入ったのはこの回だけだった。
辻発彦監督は試合後、「(有原は)素晴らしい球を投げていた。あれじゃ打てない、という感じだった。一方、うちの先発のニールはふらふらしながら、なんとか無失点に抑えていた。“野球あるある”でね、こういう時ほど、うちの方に先に点が入るものだと、プラスに考えていたよ」とニヤリ。打線の沈黙はさして気に止めず、「相手打線もそうだが、開幕戦ということで力みがあった。どんな形であれ、勝ちが一番」と心底うれしそうだった。
その中でも、1番打者に抜擢し今シーズンの鍵を握ることになるスパンジェンバーグが、早速来日初安打を放ち、今季チーム初得点のホームも踏んだ。「本人にとっても、チームにとっても、いいヒットだった」と指揮官は目を細めた。
一方、不安いっぱいだった投手陣は、ニールが4四死球を与えながら、6回1安打無失点に抑え、7回は平井、8回は新外国人右腕ギャレット、9回は守護神の増田が相手に得点を許さなかった。辻監督は「最後は増田と決めている。8回をギャレットがしっかりやってくれれば。7回は平井の他にも、平良であったり、宮川であったり、いろんな形が考えられる。今日はとりあえずこの形で、まずまずだった」とうなずいた。
駒不足の先発陣はともかく、中継ぎ陣はこの日登板しなかったものの、最速158キロの平良が成長し、速球派のドラフト1位・宮川、技巧派のドラフト2位左腕・浜屋も練習試合で持ち味を発揮。「今季は中(中継ぎ)が充実してきた」と手応えを口にしていた辻監督は、開幕戦でさらに自信を深めたようだ。まさかの“投高打低”スタートも、辻監督にとってはプラスでしかない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)