「決めたことは、やり切る」 ソフトボール界の“女イチロー”山田恵里が高校生に説いた「明日をつくる力」
オンラインエール授業に登場、高校生へエール
明日をつくるのは、自分――。ソフトボール女子日本代表で主将を務める山田恵里外野手(日立)が高校生選手たちの背中を押した。インターハイの中継などを実施する「インハイ.tv」と全国高体連が「明日へのエールプロジェクト」の一環として展開する「オンラインエール授業」に登場。新型コロナウイルス感染拡大の影響で夢の全国舞台が断たれながらも、懸命に目標を見出そうとする生徒たちと交流した。
たとえオンラインでも、憧れの人を前に女子高生たちの目が輝く。向き合ったのは、ソフトボール界の超一流。リーグ通算の安打数、打点で歴代1位、本塁打数でも1位タイを誇る「女イチロー」とも呼ばれる山田は、真っ直ぐぶつけられる質問に対し、身振り手振りを加えながら丁寧に打ち返していった。
「オンラインエール授業」は、インターハイで実施されている30競技の部活に励む高校生とトップ選手らが対面で交流し「いまとこれから」を話し合う企画。5月下旬から始まり、これまでボクシングWBA世界ミドル級王者の村田諒太やバレーボール元日本代表の大山加奈さんらが登場。この日で6回目を迎えた。1時間の授業で山田はまず、「自分の原点」だと言い切る高校時代を振り返り、生徒たちと同じ目線に立った。
「高校時代に基本的な練習を繰り返し行ったことで、今の守備やバッティングの基本ができたと思っています。基本がなければ、今の自分はいない」と強調。当時から群を抜いた選手だったが、心身ともに完璧だったわけではないという。「練習が長いな、やってて意味あるのかな、と思ったこともありました」と言うと、生徒たちも共感を示す。その上で、山田は「でも、やり続けて良かった」と継続の重要さを説いた。
授業の大半は、質問タイム。「メンタル的な難しい質問が多いのかな」と山田は構えていたというが、予想に反して技術的なアドバイスを求める声が多かった。インターハイは中止になったものの、全国の緊急事態宣言は解除され、部活動も徐々に再開。3年生にとっては、最後となる地方大会が夏に控えているケースも多く、技術論への質問はそんな彼女たちのモチベーションの表れでもあった。
逆方向に長打が打てない、インコースへの対応が難しい、チェンジアップが我慢できない……。悩みはそれぞれ。山田は、自身の感覚をわかりやすい言葉に噛み砕いて伝える。「ミスを引きずってしまう」と助けを求める生徒に対しては、「試合の中でそのミスは帰ってこないけど、次にミスを取り返すことは絶対にできる。今できることは何なのかを考えて」と助言。さらに、気持ちを切り替える自分なりのルーティンを持つことも必要だといい「私(のポジション)はセンターなので、後ろを見たら誰もいない。だから、後ろを見てひと息つくことはあります」と紹介した。