史上初の初登板初打者に満塁弾被弾も…鷹ドラ3右腕の“強心臓ぶり”と今後の期待

思わぬ形での初登板となり三塁を守る松田宣浩(左)に声を掛けられるソフトバンク・津森宥紀【写真:藤浦一都】
思わぬ形での初登板となり三塁を守る松田宣浩(左)に声を掛けられるソフトバンク・津森宥紀【写真:藤浦一都】

二保の危険球退場で緊急登板も「ワクワクしていた」

■ロッテ 5-1 ソフトバンク(21日・PayPayドーム)

 21日に本拠地PayPayドームで行われたロッテ戦でプロ初登板を果たしたソフトバンクのドラフト3位ルーキー津森宥紀投手。先発の二保旭投手の危険球退場、無死満塁という厳しい状況でマウンドへ上がると、プロで初めて対戦した打者の井上晴哉内野手に満塁本塁打を浴びた。

 まだ2回。先発の二保はまだ26球しか投げていない状況だった。当然、登板の準備をしているはずもない。「突然だったけど、初登板だったので思い切って行こうと思いました。頭に当たった時から肩を作ってキャッチボールやって、5球くらい投げていきました」。

 井上に対して2球で追い込んだが、その後、2度のファウルなどでフルカウントとなった。「四球を出すくらいなら、思い切り投げて打たれたらしょうがない」。思い切って投じた一球はバックスクリーンへと消えた。プロで対戦した最初の打者に満塁本塁打。1950年の2リーグ制後では初めての珍記録となった。

 それでも、一発のあとはロッテ打線を力でねじ伏せ、3回0/3を投げて打たれた安打は3本。自身の失点は1点だけで「自分のピッチングが出来たと思います。本塁打以外はよかったと思います」と口にした。そして、記録について聞かされると「1人目ですか? いいっすね」とあっけらかんと笑い飛ばした。

 あまり喜ばしくない形で球史に名を残すことになった津森だが、その強心臓ぶりを見せつける登板でもあった。突然の出番にも「緊張はなく、抑えてやろうという気持ちで、ワクワクもありました」。臆せず腕を振り、自身最速タイとなる149キロもマークした。無観客で静寂に包まれたマウンドには、1球投げるごとに津森の力の籠もった呻き声が響いた。

 ルーキー右腕の投球には、工藤公康監督も「良かったですよ。ボールはいいボールを投げていましたよ。いいピッチングをしていましたし、この経験は次に繋がると思います。いいボールを投げていたし、これからも期待できると思います」と高く評価していた。ホロ苦い形での初登板となった津森だが、これからに期待を抱かせるピッチングでもあった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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