西武・辻監督の苦悩は今季も? 手薄な先発ローテ、鍵は2人のドラ1の成長
現状では今季も計算できる先発投手はニールただ1人か…
実際、高橋光はスパンジェンバーグの満塁弾で4点を先取した直後の3回、2四球をきっかけに2失点。さらに5点リードで迎えた6回に、またもや四球絡みで1死一、三塁のピンチをつくり、この時点で辻監督から降板を命じられたのだった。
今井と高橋光は、いずれも高校時代に夏の甲子園優勝投手の栄誉に浴し、ドラフト1位で西武入り。今季は先発ローテの柱にと期待されている。辻監督は無残な結果に終わった今井を励まし、逆に白星が付いた高橋光にはこの投球で満足しないようにとのメッセージを込めたのだろうか。高橋光の方が今井より2年多くプロでキャリアを積んでいることで、ハードルが高く設定されているところがあるのかもしれない。
いずれにせよ現状では、今季も計算できる先発投手は、昨季12勝1敗のニール1人。14年ぶりにチームに復帰した松坂も、調整不足で開幕ローテ入りを逃した。このままでは過去2年、打線の破壊力でレギュラーシーズンを連覇したものの、信頼できる先発投手の数がモノを言う短期決戦のクライマックスシリーズで、ソフトバンクに煮え湯を飲まされてきた状況となんら変わりがない。
この日、今井が初回に4失点した直後、辻監督は「うちは点を取れるのだから、頑張って投げておけよ」と声をかけたそうで、実際にその通りの展開になった。西武は昨季両リーグを通じ断トツの756得点を挙げており、1試合平均5.3点取る計算だ。
とはいえ、打線の得点力をあてにしているだけでは進歩がない。あの手この手で先発投手陣の底上げをはかる辻監督の苦労は報われるのか。渡辺久信監督(現GM)の下で日本一になった2008年を最後に11年間遠ざかっている日本シリーズ出場を果たせるかどうかは、そこにかかっている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)