勉強か野球か… 専大松戸“受験組”に生まれた代替大会開催での葛藤と決断
当初は高校までと決めていた硬式野球、自粛期間に考えた自身の将来
約100日にも及んだ自粛期間の間には、将来についても考え方が変わった。当初は研究職を目指し、理系の学部へ進学を希望していた中村だが、「こういう形で最後の夏が終わってしまって、野球の振興や発展について学びたいという思いが強くなった」。報道の仕事や学校教員なども視野に入れ、スポーツ全般について学べる国立難関大に志望を切り替えた。理系で両立は難しいと準硬式などへ転向するつもりだった野球も、今は硬式で続けたい思いが強まっているという。
全国的な感染拡大も落ち着き、高校野球の現場では日常も戻りつつある。夏の甲子園中止は早計だったのではとの見方もあるが、中村は「早くに大会中止が決まったことで、前を向く時間が増えた。進路についてもいろいろと考える時間になったし、結果的には野球を続けることにもつながった。もう少し待てばやれたんじゃないかという声もありますが、早くに決まったことは自分にとってはよかった」と前向きに捉えている。コロナ禍によって奪われた夢と、そこから芽生えた新たな目標。一人ひとりが前を向き、次の夢に向かって歩を進めている。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)