大谷翔平獲得争奪戦の秘話 エ軍エプラーGMが二刀流に惚れ込んだワケ
大谷のスプリットはヤンキース田中よりも「より破壊力がある」
大谷が投手タイトル3冠に輝いた15年。エプラー氏は大谷が12三振を奪って完封勝利した8月18日のロッテ戦(当時QVCマリン)を視察。スプリットのスピードガンは93マイル(約150キロ)を計測したという。何人かの球団幹部が「打つことは不可能」と呼んだ大谷の勝負球をエプラー氏は、ヤンキース田中将大の球と比較して、こう評している。
「他にもっといい言葉があるかもしれないけど、何というかオオタニのスプリットは、より破壊力があるものだった」
「打者に打つチャンスは無かった。全力でウィッフルボールを投げる時と同じくらいのキレ、そして(変化し始めるタイミングの)遅さだった。けれど、投げていたのは野球のボール。『誰も打てない』と私は自分に語りかけた」
15年10月にエンゼルスGMに就任したエプラー氏は、17年オフの大谷争奪戦に参戦した。ジャイアンツ・ポージーやドジャース・カーショー、ターナーら現役スター選手が面談に参加。大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏が「ほぼ球界全土が獲得するチャンスを欲しがった」と振り返るほどの盛り上がりを見せた争奪戦は、当初劣勢とみられていたエンゼルスが大谷のハートを射止めた。エプラー氏が大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏から入団の電話がかかってきた時に、「床に倒れるまで」喜んだのは有名な話だ。
プロ5年目でのメジャー挑戦で、契約金は低額。しかもマイナー契約しか締結できないルールで、「ジ・アスレチック」は「前例のないほどの熱を帯びた争奪戦」と振り返った。タクシー運転手から日本球界の情報を仕入れてまで獲得にこぎつけたエプラーGM。今後も語り継がれるものとなるに違いない。
(Full-Count編集部)