今季の西武は一味違う 亡き森慎二氏の命日に示したリリーフ陣の成長ぶり

西武・増田達至(左)と平井克典【写真:荒川祐史】
西武・増田達至(左)と平井克典【写真:荒川祐史】

指導受けた平井、増田が形成する勝利の方程式が格段に安定

■西武 4-3 ソフトバンク(28日・メットライフ)

 西武は28日、本拠地メットライフドームで行われたソフトバンク戦にサヨナラ勝ちし、3連勝とした。2017年に1軍投手コーチ(ブルペン担当)在任中だった森慎二さんが42歳の若さで急逝した命日を劇的勝利で飾り、その勝利を呼び込んだのは、森さんが指導に携わり、今季、格段の成長を感じさせるリリーフ陣の奮闘だった。

 辻発彦監督が試合後、「自分の心の中で、6月28日だな、という思いはありました」と言葉を詰まらせたのも無理はない。森さんは3年前の6月25日、遠征先の福岡で突然体調不良を訴えて入院し、28日に多臓器不全で亡くなった。穏やかな人柄で、投手陣からも兄貴分として慕われていた存在だった。

 この日、7回に登場して3者凡退に仕留めた平井克典投手は当時ルーキー。5月後半に1軍に昇格すると、わずか1か月弱ではあったが、森さんにマウンドに送り出された。昨季は森さんが現役時代の2002年にマークした、西武の球団買収後の最多登板記録「71試合」を超え、前身の西鉄の稲尾和久さん(故人)が1961年に樹立したパ・リーグ記録「78試合」も更新した。

 9回をやはり3人で片付け、サヨナラ劇につなげた守護神・増田達至投手も幾度となく森さんのアドバイスを受け、西武のクローザーとなった。増田は選手会長を務めていた2018年9月30日、チームが札幌ドームで優勝を決めると、背番号89と『S.MORI』のネーム入りの森さんのユニホームを手に、辻監督の胴上げの輪に加わった。昨年は自己最多の30セーブを挙げ、貫禄を増している。

 この日は、8回のギャレットも柳田、バレンティン、上林を3者三振に切って取る快投。28日時点で平井は4試合無失点。ギャレットは5試合1失点、増田は4試合無失点と安定ぶりを誇る。今季の西武はこの3人が“勝利の方程式”を形成。さらに、最速158キロを誇る平良、ドラフト1位ルーキーの宮川、同2位の左腕・浜屋も加え、辻監督を「今年はリリーフ陣が充実している」と喜ばせている。

 宿敵ソフトバンクとの6連戦を4勝2敗で突破した西武。森さん急逝の翌年から始まったリーグ連覇を今年も続け、さらに12年ぶりの日本一にこぎ着けることができるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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