グラブはキッチン用品から生まれた 素手から始まったグローブの長くて深い歴史
野球の歴史を辿ると当初は素手で守っていたが怪我に悩まされ…
野球は19世紀半ばに、アメリカの東海岸で始まった。その当時の選手は、素手で守っていた。ボールは当時からコルクやゴムの芯に糸を巻き付け、それを牛革で覆って縫った固いボールだったが、選手はそれを素手で扱っていたのだ。このために野手は突き指に悩まされた。
1870年に、シンシナティ・レッドストッキングのキャッチャーだったダグ・アリソンは、突き指を防ぐために、バックスキン製のミトンを手にはめて守った。それ以前のキャッチャーは、投手の球をワンバウンドで捕ることが多かったが、アリソンはノーバウンドでボールを捕球することができるようになった。
当時のミトンは、指の部分がカットされていて、掌の部分だけを守るものだった。これが、現在のグラブ、ミットの始まりだ。今では捕手、一塁手が使用するものは「ミット」、その他の野手が使用するものを「グラブ」となっているが、どちらも「手袋」という意味であり、当時は厳密な使い分けはしていなかった。
1870年代はグラブを着用するかしないかは選手の自由だった。1881年まで、投手は下手投げで打者の希望するコースに投げていた。1882年に横手投げ、1884年に上手投げでボールを投げることが認められてから、野手は非常に速い投球や打球を扱うことになった。これとともに、多くの選手がミットやグラブを着用するようになる。