「応援されてると思ってた」 東邦主将がSNSで知った世間の声、甲子園中止の是非

「勝利至上主義を否定したくはない。でも…」高校野球の問題点考える契機に

 自らの目と耳で情報に触れ、自らの頭で考えて出した「中止もやむなし」の結論。だからこそ、代替大会開催の決定には心から感謝の思いがこみ上げているという。ここ最近の状況から、やろうと思えば甲子園も開催できたのでは? と聞くと「それは結果論かなと。甲子園が中止になったことで、そこまでいうならとリスクのある行動を控えた人もいると思う。どうしても悔しさがこみ上げてくるときは、甲子園と引き換えに助かった命もあるんだと、最近はそう思うようにしています」と自らに言い聞かせるように語った。

 様々な記事や考えに触れるなかで、高校野球の構造や問題点についても考える契機になったという。

「よくやり玉に挙がる勝利至上主義の体質って、どうやったらなくなるのかなって。僕がこれまで東邦でやってきて、何が何でも勝ちたいという気持ちで成長できた部分は絶対にある。でも、3年間で1度も試合に出られない選手がいたり、勉強も何もかもを犠牲にして野球だけにすべてを捧げるというのも絶対に違う。勝つことだけがすべてじゃないけど、勝利至上主義を全部否定したくはなくて……答えは出てないです」

「SNS禁止の学校じゃなくてよかった。東邦じゃなければ、高校野球に対する世間の見方を知ったり、ここまで深く考えたりすることもなかった」と林。答えのない問いに葛藤を抱えつつ、間近に迫った最後の夏については「やっぱり勝つことだけを考えて、最後まで全力で臨みたい」とうなずいた。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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