最高のナックルカーブは「我らがダルビッシュ有」 お股ニキが選ぶ魔球の使い手は?
ベテランになったサイ・ヤング賞投手に活路を与えたスローカーブ
【プラス1】ザック・グリンキー(アストロズ)右投 スローカーブ
回転効率78.7% 平均球速69.12マイル(約111.2キロ) Spin Axis 7:31 2445回転
空振り率17.0% 使用割合14.62% 被打率.140 ピッチバリュー/100:3.1
ザック・グリンキーのスローカーブは独特だ。時速100キロ(約62マイル)を割ることもある超スローカーブでタイミングを外し、バッターの腰を砕けさせて空振りを奪う。かつては100マイル(約161キロ)近い快速球を誇ったグリンキーも、もう齢(よわい)36歳。スピードの低下は顕著だが、独特の投球術で打者を打ち取っていく。90マイル(約145キロ)ほどに球速が低下した4シームよりも速いことすらある高速チェンジアップで空振りやゴロを奪う。
かつて最も良かったスラッターはスピードが低下して圧倒的なものではなくなったものの、速球と見せかけて左右に曲げ落とす変化球を意識させながら、まっスラ気味の4シームと組み合わせる。そうした速いボールを意識させつつ、100キロのスローカーブを投げ込み生まれる緩急で打者を翻弄。守備にも定評があり、併殺を上手くとることもできる。
これだけの圧倒的な投球術があることが、ベテランとなって速球の平均球速が90マイル(約145キロ)を割っても、今なおエースクラスの投球ができる理由だろう。スローカーブの指標も高く、スピードが出なくなった時にとるべきアプローチとしても的確だ。
※回転効率:総回転数のうちボールの変化に影響を与える回転数の割合。
※Spin Axis:回転軸の傾き 時計盤の中心にボールがあると考えて“時間”で表記。例えば「6:00」の場合、ボールは投手からホーム方向へ12時から6時へ下向きの回転(トップスピン)をすることを示す。「12:00」の場合は6時から12時へ上向きの回転(バックスピン)、「3:00」の場合は9時から3時へフリスビーのような右向きの回転(サイドスピン)、「9:00」の場合は3時から9時へ左向きの回転(サイドスピン)となる。
※ピッチバリュー/100:その球種が生み出した得点貢献(期待失点の減少)を、100球投じた場合の平均に直したもの。例えば、ある投手の4シームが2.00ならば、「4シームを100球投げることで平均よりも2点の失点を減らした」ことになる。
(お股ニキ / Omataniki)