史上初3球団での最多勝に期待 楽天・涌井秀章が歩んできた“エース道”

昨季は18試合登板で2度の完投を記録している

 2007年と2009年にはそれぞれ11度の完投を記録するなど、プロでの15シーズン中13シーズンにおいて最低1度は完投を記録。完投がなかった2005年は高卒1年目であり、2012年は年間30セーブを挙げるなどリリーフとしての登板が中心だったことを考えれば、先発投手としての登板機会があった年においては、必ずと言っていいほど完投を記録してきた。

 加えて、通算で記録した無四球試合は13試合と、現役選手の中では最多の数字を記録している。完投能力の高さのみならず、終盤のイニングになっても制球力が落ちないのが凄みの一つだ。2019年も18試合の登板で2度の完投と1度の無四球試合を記録しており、その完投能力の高さは相変わらずだ。

 今季より所属する楽天は、2019年に2度の完投を記録し、規定投球回にも到達した美馬学投手が、同年オフにFAで退団。チーム全体でその穴を埋める必要があるが、完投能力の高い涌井はまさにうってつけの存在といえる。34歳で迎える今シーズンも堅実な働きを見せてくれれば、新天地でも大きな戦力となってくれそうだ。

 常に一定以上の活躍が計算できる選手というものは、チームの編成や首脳陣の計算においても非常にありがたい存在となるものだ。その点、涌井がこれまで見せてきた活躍は、年度別の数字というだけではなく、安定感という面でも卓越したものだった。先述した数々の通算記録は、その継続性の副産物でもあるといえよう。

 涌井はプロ1年目の2005年からプロ15年目の2019年まで毎年白星を挙げており、故障で離脱したシーズンもほぼ2011年のみというケガへの強さを備える。その耐久力の高さに加え、200イニング突破が2度、170イニング突破が8度、150イニング突破が11度と、安定してイニングを消化する能力にも長けている。投手分業の流れが加速し続ける中でも多くのイニングを消化し続けてきた、その継続性は出色と言えるだろう。

涌井の加入がもたらす効果は投球以外のところにも…

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