震災乗り越えた3年間「誰かのために」と戦った… 鵡川(北海道)の「思い出の選手名鑑」
鬼海監督は北海道胆振東部地震を経験した生徒に感謝「彼らは自分たちにできることを探し、行動してくれた」
夏の甲子園が中止になり、各都道府県で独自大会の開催、準備が進められている。Full-Countでは最後の夏を迎える部員たちの心に残るものを贈りたいと考え、「思い出の選手名鑑」として3年生の部員らの集合写真、プロフィール、メッセージなどを掲載していきます。第13回は北海道鵡川高等学校。
◇氏名(よみ) 位置 投・打 身長(センチ) 体重(キロ)
アピールポイント(自薦他薦問わず) 3年間頑張ってきたこと
阿部柊希(あべ しゅうき)二塁手 右・右 165・62
俊足
1年時からリーダーとして人の上に立つということの責任感や難しさを多く学び、主将として今がある。個人はチームのために存在していることを学んだ。
石塚康平(いしづか こうへい)三塁手 右・左 175・70
シュアな打撃・守備力
人との接し方や礼儀などを野球を通じて学ぶことができた。また多くの方々に応援していただき、感謝の気持ちを持つことの大切さも同時に学んだ。
稲葉美徳(いなば よしのり)投手 右・右 175・75
気迫ある投球
先輩や先生など目上の人に対する礼儀などしっかり学ぶことができた。また様々な困難や逆境も、エースとして最後まであきらめない姿を見せ、戦い続けることができた。
浮須聖直(うきす せな)捕手 右・右 170・85
全力疾走
野球ができる喜びと何不自由なく野球をさせてもらった親への感謝を学んだ。また、野球の技術はもちろんのこと、それ以上に将来につながる人間的な成長ができた3年間でした。
佐々木隼斗(ささき はやと)捕手 右・右 175・85
長打力・肩の強さ
己の技術力向上のためにも、手を抜かず、やり抜けた。また、寮生活のなかで、目上の人への気遣いなど、「誰かのために」の精神を学んだ3年間でした。
佐藤翼(さとう つばさ)遊撃手 右・右 171・65
視野の広さ
どんなに辛くても食らいつく精神力を身につけた。甲子園で野球をするには、私生活、学校生活も大切で、人間力をあげるために己を磨きあげられた3年間の寮生活でした。
中川翔真(なかがわ しょうま)二塁手 右・右 171・80
勝負強さ
野球の技術的向上はもちろんのこと、人間性を磨くために周りを見る力、気遣いなど社会にでてからも必要な力を身につけられた3年間でした。
西村天辰(にしむら てんしん)中堅手 左・左 170・75
フルスイング・元気
勝つための練習はもちろん、私生活も大切にやってきた。人間的に成長でき、人生において大切なことを学ぶことができた。また、苦しいときこそ仲間のために元気を出し、プレーできた。
星晴互(ほし せいご)投手 右・右 180・78
全力投球
高校から親元を離れ、この高校を選択し寮生活を送ってきた。寮生活は、人間的にも成長できる場所であり、人生の中の貴重な3年間となった。
山本寛大(やまもと かんた)右翼手 右・右 65・65
ガッツあるプレー
今まで自分ができなかったことを、この高校にきて可能にするように一生懸命取り組み、できるようになったことは成長だと思う。甲子園で全力疾走するために、愚直に取り組んでできた。
◇監督・鬼海將一(きかい しょういち)
今の3年生にとってこの3年間の高校野球は、常に試練の連続でした。一番の出来事はやはり北海道胆振東部地震。住むところを失い、野球どころではないなか、彼らはそれでも自分たちにできることを探し、行動してくれました。
この震災を通じて多くの人と出会い、その方々から生徒たちが逆にパワーをもらい、育てていただけました。野球だけやっていてはわからなかったこと、人として大切なことを、この震災という試練を乗り越えて得ることができました。私にとってもう大会があろうとなかろうと、関係ありません。一番は、この町で高校野球できてよかったと、この町にきてよかったと思える3年間にするために、卒業するその日まで、生徒たちと向き合っていきたいと思います。
甲子園は夢だ。その夢に挑戦だ。しかし、毎日の練習こそ甲子園だ。「練習常善」汗と血と涙を流せ。それが青春だ。by佐藤茂富元監督の言葉(私が高校時代、毎日書いていた野球日誌に先生が書いてくれた言葉)
◇主将・阿部柊希
この3年生10名とは、苦楽をともに過ごした同志です。絆はどこのチームよりも強い。最後の夏、甲子園という舞台で野球をすることができなくなった世代ではありますが、今までやってきたことは失われません。鵡川高校野球部は、甲子園が目的ではありません。最後の最後まで、甲子園に出るにふさわしいチームを目指し、毎日挑み続け、私たち野球部をはじめて見た人が、見てよかったと思える練習を毎日していきたいと思います。練習常善です。
(Full-Count編集部)