なぜ鷹は今季初の3連勝をできたのか? 悔しさ乗り越え楽天打線封じた甲斐拓也の“変化”

同じ球種を続け、勝負の決め球で初めての球種を要求する大胆さが見えた

 そして、この3試合だ。明らかに甲斐のリードに変化が感じられた。印象的だった場面はいくつもある。10日で言えば、特にモイネロが登板した8回。150キロ中盤の真っ直ぐを内と外に配しつつ、徹底して130キロ台中盤で鋭く斜めに変化するスライダーで攻めた。ところが、最後の最後、浅村を見逃し三振に斬ったところで使ったのは、この日初めて投じた127キロのカーブだった。

 11日の試合では、まず二保がフォーシームを多投した。これまでの2度の登板では、投じたストレート系のボールはほとんとがツーシームだったが、この日は先頭の茂木にいきなり2球連続でフォーシーム。さらにはブラッシュ、浅村にもフォーシームを投げた。二保によれば、試合前からフォーシームを多めに使うことを、甲斐との間で話していたという。

 2回に内田に3ランを浴びたが、これは外角に要求したボールが逆球となりど真ん中へ入ったもの。二保の投げミスだった。3回以降は楽天打線にフォーシームの存在を印象付け、武器であるツーシーム、そしてチェンジアップ、フォークと2種類の縦の変化球を使い分け翻弄した。7回には、それまでと一変し、徹底してフォークで攻め続けた。

 そしてモイネロが登板した8回だ。1死二塁で迎えたブラッシュにはストレート、スライダーを徹底してインコースへ。最後もインコースへのスライダーで空振り三振に仕留めた。浅村を申告敬遠で歩かせて迎えた島内には、スライダーとストレートで追い込み、最後は前日同様にカーブ。この日初めて投じる球種でバットに空を斬らせた。

リードに正解はない、それでも必死に考え導き出した思考の跡が見える配球

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