なぜ鷹は今季初の3連勝をできたのか? 悔しさ乗り越え楽天打線封じた甲斐拓也の“変化”

リードに正解はない、それでも必死に考え導き出した思考の跡が見える配球

 12日の試合でも4回のブラッシュの打席で4球連続でパワーカーブを要求。追い込むと、一転して147キロの真っ直ぐ。ブラッシュのバットは敢えなく空を斬った。石川は試合後に「カーブを続けるのは今日面白い配球だな、と思いましたね」と振り返っていた。

 もちろん捕手がどれだけリードしたとしても、打たれる時は打たれるもの。リードに正解はなく、抑えれば称賛され、打たれれば酷評される、捕手は難しいポジションだ。それでも、時に1つの球種を徹底して要求し、時にインコースを攻め続け、相手打線を翻弄した。必死に考え、そして導き出した思考の跡が見える配球だったのではないだろうか。

 楽天との6試合を終えた工藤公康監督も甲斐のリードについて「傾向がしっかり見えて、その場その場でどこにどのボールを投げて意識させれば、どうなるか、というのが見えてきている部分があるんじゃないかと思う。ピッチャーもそこに投げないといけないというのがあるんですが、そこもピタッとハマったように思います」と評価した。

 甲斐には、ここまでの敗戦で厳しい言葉も上がっていた。ただ、それを正面から懸命に受け止めた。「負けが続けば、捕手の責任という見られ方をするポジション。そういうポジションをやっている限りは受け止めないといけないと思っています」。悔しさを味わい、そこに立ち向かう。思考と意志、覚悟が見えた3試合だったのではないだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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