守護神が欠けるだけじゃない 阪神OBが語る藤川離脱が与える影響の大きさ

代役を務めたスアレスはひとつのモデルケースになる、と野口氏

 その9回のマウンドに上がったのが、これまで8回を担ってきたスアレスだ。前夜11日に救援に失敗した守護神の藤川が登録抹消となった中、クローザーに昇格した格好に。四球や自身のエラーが絡んで1点は失ったものの、なんとかリードを守りきった。「9回はスアレスというモデルケースになった試合だったと思います。このまま結果が伴っていってくれれば」と野口氏は見据える。

 だが、藤川の不在は救援がただ1人いなくなったのとは訳が違う。「投手陣全体に与える影響や安心感は、他の投手とは全然違う。離脱は非常に痛い」と野口氏は見る。この日は岩貞の好投もあって救援陣の負担は最小限で済んだが、今季はいまだ先発陣の完投はゼロ。さらに今後の過密日程で、必ずブルペン陣の厚みが問われてくる状況はやってくる。

 現状の勝ちパターンである岩崎優投手とスアレスを8、9回に充てたとしても、7回をどうするのか――。野口氏は一案として、若手らの台頭に期待する。3年目の馬場皐輔投手は今季これまで4試合に登板して無失点。さらに高卒5年目の望月惇志投手や伊藤和雄投手の名前も挙げ「誰かひとりでもいいからメドがついてくれば」。それに加え、故障で出遅れている桑原謙太朗、島本浩也両投手らの早期1軍復帰もブルペン安定のカギに挙げる。

 それでも野口氏は「球児が1日も早く戻ってくるのが一番。いつもの状態でマウンドに上がれば、名前だけで抑えられる。それだけ球児の存在感は違う」と強調。替えの効かない精神的支柱が再び9回を担えるようになるまで、リリーフ総動員で終盤のマウンドを守っていけるかが、最下位からの浮上のポイントになってきそうだ。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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