なぜDeNA平良は好投を続けられるのか? 専門家が指摘する防御率1.08の要因
「低めにさえ投げられれば勝てるということを体現している」
この打席、1球目は外角ギリギリに外れる直球がボールとなり、2球目はほぼ同じコースへのスライダーで空振り。3球目は外へのスライダーが外れていた。バッティングカウントで、打席には4番打者。「あの場面、自分だったらインコースはどうかなと思う。もし内角に行くにしても速い球だと思いますが、ファウルが取れれば儲けもんくらいの感じでしょうか」と捕手目線で野口氏は語る。
さらに大山に対しては、前の打席で内角への直球で見逃し三振を奪っていただけに「大山の頭の中にもインコースはあったと思います」とも。あくまで結果論だが「外角の球でカウントを整えて、インコースへの意識が少し薄れたと思ったらインコースにいっても良かったのでは」と理想の配球を想像した。
ただ、全体的に平良は目を見張る投球内容だったことは確か。スライダーやシンカーを丁寧に内外角に投げ分け、内角の直球も効果的に使っていた。野口氏も「投げミスは数えるほどしかない。びっくりする真っすぐや変化球はないが、低めにさえ投げられれば勝てるということを体現している。ブレークを予感させる内容だと思います」と強調した。
負けはしたものの、今季は4試合計25イニングを投げて堂々リーグトップの防御率1.08。すでにハマのローテ陣に欠かせない存在になっている。野口氏は今後の登板にも期待しつつ「調子が良い時こそ、余計な怪我に気をつけてほしい」とも。この日25歳を迎えた右腕に漂う覚醒の予感は、近いうちに実感へと変わっていくかもしれない。
(小西亮 / Ryo Konishi)