分業制で多くなった? パ・リーグ規定投球回未満の“2桁勝利”を振り返る
今後のプロ野球界において、現在の傾向がこのまま続いていくのか否か
また、今回の条件に合致した投手が3名と、2番目に多い数字となった2016年には、リーグ優勝を果たした日本ハムから全ての投手が輩出されているのも示唆的だ。この年の日本ハムは、マーティン、バース、宮西尚生、谷元圭介といった優秀なリリーフ投手を数多く擁しており、増井が不振で先発に配置転換されてからも、安定して試合終盤を締めくくる体制が維持できていた。
そのため、増井や高梨のようなリリーフから先発への配置転換が行いやすくなっていたことに加え、大黒柱の大谷がケガの影響で登板できない時期が一定期間ありながらも、投手陣が破綻をきたすことなく終盤戦の快進撃を演出できたと考えられる。規定投球回に到達しなかった投手が3名も2桁勝利を挙げたことと、該当シーズンのチームの好成績は、決して無関係ではなかったと言えるだろう。
先述した通り、近年は規定投球回到達者自体が年々減少している傾向にある。しかしながら、2018年と2019年の傾向を鑑みるに、規定投球回未到達で2桁勝利を挙げた投手が増えているか減っているかを断ずることはまだできないだろう。即ち、2020年以降にその数がどう増減するかが、投手分業の進行がこの分野にどのような影響を及ぼしているかを推し量るための材料となってくる。
規定投球回到達と2桁勝利は、どちらも先発投手にとっては重要な目標の一つとなる。ただ、投手全体の投球イニングが減少していることもあり、近年はそのハードルが以前に比べて高まりつつあるのも事実。白星と投球回の関係は、今後も注意深く見守っていく価値のある題材と言えるのではないだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)