「2度とプレーできないと…」 田澤純一、12年前の覚悟と後輩たちへの想い
自身のNPB入りについては覚悟「ルールがあるのは従わないと…」
だが、ルールはルール。この日の記者会見で34歳右腕は、将来的なNPB球団入りについて問われると「いろいろなルールもありますし、難しいかなと思います」「2年間っていうルールがあるのは従わないといけないと思っています」と、覚悟を決めている様子を明かした。だが、同時に「そういったルールがなくなってくれればいいな、という気持ちは、個人的にはあります」と言及したのは、なぜか――。
それは、自分自身のため、ではなく、これから海外を目指す“後輩”たちを思ってのこと。自分が味わっている窮屈さや複雑な思いを感じずに、思い切って自分が進みたい道を歩める環境になってほしいと願うからだ。
決して自己主張するタイプではないが、メジャー通算9シーズンで通算388試合登板、21勝26敗4セーブ89ホールド、防御率4.12という成績は胸を張って然るべきもの。ルールだとは言え、実績ある選手が自国のプロ野球でプレーできず、その経験を伝えるチャンスを与えられないのは、残念なことでしかない。
一方、角晃多GM兼監督の熱烈なラブコールが実を結び、田澤獲得に成功したBC埼玉武蔵は、貴重な戦力を得たと同時に、NPBを目指す若い選手たちと経験豊かな田澤を繋ぐ貴重な場を提供することになった。大きく日本球界という視点で捉えた時、BC埼玉武蔵の果たした役割は大きな意味を持つことになるだろう。
BC埼玉武蔵の角GM兼監督は、こんなことも言っている。
「行き場がなくなった選手を受け入れるのがBCリーグではなく、次のステップに進むための場がBCリーグだと思っています」
田澤自身は「まずはこのチームと契約したので、このチームで頑張るということが大事」とBC埼玉武蔵への貢献を協調したが、新しいチームメートと同じように、34歳右腕にとってもBCリーグが次のステップに進むための場となることを願いたい。
(佐藤直子 / Naoko Sato)