長嶋茂雄、原辰徳… 名将2人に仕えた“側近”が語る、共通点と独自の勝負勘
14日の広島戦に勝利し長嶋茂雄巨人終身名誉監督を超え、通算1035勝をマーク
巨人・原辰徳監督が監督通算1035勝として、長嶋茂雄終身名誉監督を超え、巨人歴代2位となった。2人の名将のもと、巨人ベンチでスコアラーとして長年、チームの分析を行ってきた三井康浩氏は「攻撃的な采配」と「選手の見極め」がともに長けていると共通点を“勝てる監督”のポイントに挙げた。近くで見ていたから分かる共通点とその中で見えた原監督の独自の野球観について明かしてもらった。
今でこそ、スコアラーがベンチに入るのは当たり前になってきたが、その第一人者となったのが、長嶋政権下の三井氏だった。原監督の下では、巨人以外にも2009年のWBCでもチーフスコアラーとして、チーム分析を行ってきた。
「共通点としては、2人とも攻撃的です。もちろん、投手も重要ではあるのですが、野手中心で試合を進める。長嶋さんは、長打で点を取りに行く。だけど、原さんは足を使って試合を動かしていくタイプです」
原監督のすごいところを聞くと、「躊躇なく、選手を動かせること」だという。思い切った作戦を敢行する。一塁に走者が出れば、どのようにして一、三塁とチャンスを広げて、点を取るかを考える。そこにはエンドランや盗塁など、足を絡めた野球がある。
「原さんは走者を一、三塁にして、ビッグイニングを作ろうとすることが多いです。また、試合が膠着状態で、動かしたいという時はエンドランや足の速い選手を起用して、自分の手で動かしにかかります。“小粒”で足がある選手をベンチに置き、代走要員にも鈴木尚広らスペシャリストを置いていたのはそういうところにあると思います」
同じ攻撃的な采配でも、色が違う。独自のテイストはいつごろから生まれたのか。
「長嶋さんが監督の時に、原さんはヘッドコーチしていたんですけど、その期間で何回か長嶋さんから『サインを出していいよ』と言われたことがありました。今思うと、その時から、選手を動かしていましたね。原さんには独自の野球観がこの時からあったんだと思います」