「野球を続けるきっかけに」 コロナ禍で誕生した全道準V札幌日大の異世代交流戦

札幌日大・森本卓朗監督【写真:石川加奈子】
札幌日大・森本卓朗監督【写真:石川加奈子】

最速144キロ右腕「高校には圧迫感を持った打者はいない。いい経験になりました」

 昨春関西遠征した際には和歌山大と練習試合を行った。その試合がきっかけで受験勉強を頑張り、今春国立の和歌山大に入学してプレーする教え子が良い例だ。「大学や社会人の方たちからすると、高校生とやるより、もっとレベルの高い相手とやりたいはず。それでも、野球界全体を考えて引き受けてくださった」と森本監督は賛同して協力してくれたチームに感謝する。現在の3年生19人中9人は卒業後も野球を続ける予定だが、もっと増えてほしいと願っている。

 2018年の全日本クラブ野球選手権で4強入りしたウイン北広島との対戦は、高校球児にとって大きな意味があった。加藤愛稀主将(3年)は「高校生同士でやるよりも大きなプレッシャーがある中で、自分たちの現在地を試す試合になりました」と語る。将来プロ入りを目指す2選手にとっても有意義だった。4回1安打無失点と好投した最速144キロ右腕の小林駿太(3年)は「高校にはああいう圧迫感を持った打者はいないので、いい経験になりました」と話す。3打数無安打に終わった俊足の4番打者、明田圭喬(3年)は「技術不足で三振でしたが、ふだん経験できないことを経験させてもらって感謝しています。恩は大会で返したいです」と今夏の南北海道大会優勝を誓った。

 雑誌「致知」を題材にしたミーティングを実施するなど高校野球以外の世界にも目を向けるよう指導している森本監督は、この交流戦を恒例行事にしたいと考えている。ウイン北広島の中村監督も前向きだ。「選手は負けられない重圧で、金縛りにあったみたい。高校生との試合は難しい」と苦笑いしながらも、「高校生の笑顔がうれしかったですね。お互いの心を磨く機会。野球を続けるきっかけになればいいですし、来年以降も大人の責任としてやらなきゃいけないと思っています」と続けた。

 コロナ禍がきっかけで誕生した交流戦。異世代交流の広がりが、野球人口減少に歯止めをかける一助になればいい。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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