大荒れ5回途中降板でも「若手の見本」 鷹・工藤監督が39歳和田を評価した理由
投手に必要な「悪い時にどうするか」という能力
4回1/3を投げて、5安打4四球で2失点。5回途中での降板で、先発としての役割を果たしていたとは言い難い。だが、この日の勝利は和田の粘投あってこそ、でもあった。だからこそ、工藤公康監督も試合後に「ある意味、今日のようななんとかしていくピッチングが若手の見本になると思います」と称えたのだった。
5回まで得点圏に走者を背負うこと、実に4イニング。制球も安定せず、5安打4四球と苦しんだ。「今日はなにひとついいところがなかった。調子が悪い中でももう少し何とかしないといけない」という和田のコメントからも、この日の内容の悪さが伺い知れる。とは言え、4回までは無失点。5回に2点を失ったが、これはリリーフ陣が失ったものでもあった。
工藤監督は試合後、こう語っている。
「ピッチャーはいい時ばっかりではない。悪い時にどうするか。ピンチもあるでしょうけど、そういう時になんとかして繋いでいくことが大事だと思います」
悪い時にいかに少ない失点で凌ぐか。大量失点することなく、何とか試合を作った状態でリリーフ陣にバトンを渡せるか。この能力こそ、先発ローテを担う投手に求められる能力である。絶好調で迎えた試合で抑えられるのは当然。調子が普通のとき、そして、悪い時にどう抑えるか、が大事なのだ。
実際、先発投手が1年間投げ抜く中で、調子がいい状態で投げられる試合はほとんどないと言われている。大半はさほど調子が良くない状態で迎えなければならない。その中でいかにチームを勝利に近づけるか。この日の和田のピッチングは、その答えを示しているとも言えた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)