西武與座、待望のプロ初勝利に大学時代恩師感慨 「亡き同級生の思いも胸に…」
大学1年時にチームメートがバイク事故死「與座は中野の思いも胸に抱いて、プロでやっていく」
ところが1年生の5月、中野さんは原付バイクで温泉施設から下宿先へ帰宅中、誤って電柱に激突。数日後に死去した。チームは4年間、中野さんの背番号15を欠番とし、そのユニホームをベンチ内に飾って「中野と一緒に」を合言葉に戦った。
小森監督は「與座がプロ1年目の春に参加した高知・春野での2軍キャンプには、中野のご両親とお兄さんも駆けつけていました。與座は中野の思いも胸に抱いて、プロでやっていくのだと思います」と語る。
與座はプロ入り早々、右肘の違和感に悩まされ、1年目の10月には内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を受け、いったん育成選手に降格した。それでも地道にリハビリに取り組み、昨年11月に支配下登録選手に復帰。今年は1軍の南郷春季キャンプ、オープン戦・練習試合での猛アピールが実り、開幕先発ローテ入りを果たしたのだった。
「おっとりした顔をしていますが、非常に負けん気が強い。どんなピンチでも、動揺したり物おじすることは一切ありませんでした」と小森監督。一方で「プロ入り後も毎年12月には、埼玉から沖縄の実家に帰る途中、おみやげを持って大学を訪ねてくれる。かわいいやつですよ」と笑う。
紆余曲折を経て、今季5試合目でようやく初勝利をものにした與座に、小森監督は「甘くないプロの世界で1歩目を踏み出すことができた。2歩目、3歩目と進んでいってくれれば。息の長い、愛される選手になってほしい」と“親心”をのぞかせた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)