パで増加傾向の一流の証“3割打者” 西武森、オリ吉田正ら巧打者はどこが凄い?

夢のシーズン4割に期待もかかった日本ハム近藤

○秋山翔吾外野手(レッズ・前西武)

西武・秋山翔吾(現レッズ)の打撃成績【画像:パーソル パ・リーグTV】
西武・秋山翔吾(現レッズ)の打撃成績【画像:パーソル パ・リーグTV】

 NPB史上最多となるシーズン216安打を記録した2015年の活躍を筆頭に、1度の首位打者、4度の最多安打と、近年のパ・リーグを代表する安打製造機として目覚ましい活躍を続けた秋山。長きにわたってチームのトップバッターを務めてきただけでなく、連続試合フルイニング出場のパ・リーグ記録を更新したタフさも兼ね備えていることもあり、2015年から5シーズン連続で、その打席数と打数はリーグ最多の数字を記録し続けている。

 打数が多いということは、それに比例してより多くの安打数を積み重ねなければ、高い打率は残せないということにもなる。しかし、毎年休みなく出場を続ける中で、秋山は直近5年間で4度の打率.300超え、そしてリーグ最多の安打数を記録。5年連続で170安打以上を記録してきたその安定感は、球界全体を見渡してもまさに図抜けたものだった。

 また、2017年からは3年連続で20本以上の本塁打を記録しているように、近年は長打力の増加も目覚ましい。打点を稼ぎにくい1番打者を主に務めながら2017年から2年間は80を超える打点を記録するなど、ポイントゲッターとしての能力も向上しており、リーグを代表する強力打線の中でも欠かすことのできない存在の一人となっていた。

 もちろん、トップバッターに求められるチャンスメークという点でも極めて優れた能力を有している。出塁率は2015年から5年連続で.380を超えており、2015年と2018年には出塁率.400を超える数字を記録。OPSが.900を超えた年も3度あり、打者としての総合能力の高さに疑いの余地はない。NPB年間安打記録保持者の看板を引っ提げて挑戦する米球界で、当代一の鉄人がどのような活躍を見せてくれるかに期待したいところだ。

○近藤健介外野手(日本ハム)

日本ハム・近藤健介の打撃成績【画像:パーソル パ・リーグTV】
日本ハム・近藤健介の打撃成績【画像:パーソル パ・リーグTV】

 近藤といえば、故障で57試合の出場にとどまったものの、夢のシーズン打率4割すら期待させる圧倒的な打棒を見せつけた2017年の活躍が印象深いところだ。そのシーズンも含めて故障に苦しめられるシーズンも少なくはなく、規定打席に到達したのはプロ8年間で3度だけだが、その3シーズン全てで打率.300を超える数字を記録。通算打率も.304と高い水準を保っており、アベレージヒッターとしての能力に疑いの余地はないだろう。

 また、打率だけでなく出塁率が極めて高いことも特徴だ。規定打席に到達した3シーズンはいずれも出塁率.400を超えており、直近2年間の出塁率はいずれも.420以上。規定打席未満ながら、2017年には出塁率.567という驚異的な数字を記録していた。通算出塁率も.403と非常に高い水準を維持しており、選球眼という点ではリーグでも屈指と言える。

 四球の数という面でも、2017年には231打席で60四球という驚異的なペースを記録。2018年には87四球、そして2019年には3桁の大台を超えるシーズン103四球と、近年における数字は年々伸びてきている。決して長打を売りにするタイプの選手ではない近藤がこれだけの四球を稼いでいる理由は、打席での冷静さに加えて、対戦相手にとっても常に警戒すべき存在と認識されていることの表れでもあるだろう。

 先述の通り、近藤は規定打席に到達したシーズン全てで打率.300、出塁率.400を超える数字を記録してきた。過去2年間は長期離脱を経験することもなく、かつて悩まされた故障も克服しつつある。「規定打席に到達すれば打率3割」という縁起の良いジンクスが2020年以降も続くのかどうか、今後も要注目の選手であることは間違いなさそうだ。

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