アベック満弾のボーア&サンズを称賛も… 藪恵壹氏「まだバースとまでは言えない」
サンズ、大山、ボーア、梅野の打順に「いい形が見えてきた」
■阪神 20-5 ヤクルト(28日・神宮)
阪神は28日、神宮球場で行われたヤクルト戦に20-5と圧勝し、2位ヤクルトとゲーム差なしの3位とした。この日はボーアとサンズの助っ人コンビが“アベック満塁弾”を披露。ボーアは3打数2安打5打点、サンズは4打数4安打5打点の活躍で、揃って6回に代走を送られてベンチに退いた。
快音が止まらない助っ人コンビを「2人ともかなり調子がいいですね」と称えるのは、阪神OBでメジャーでも活躍した藪恵壹氏だ。この日を終え、ボーアは打率.271、7本塁打、19打点、サンズは打率.316、6本塁打、20打点と大貢献。最近では、3番・サンズ、4番・大山悠輔、5番・ボーアという破壊力あるクリーンナップが定着しつつある。「このクリーンナップに、6番・梅野が加わって、とてもいい流れになっていますね。大山とボーアの前後を誰が打つのかがカギになると思っていましたが、いい形が見えてきたんじゃないでしょうか」と話す。
阪神ファンなら、誰もが気になる疑問がある。それは「サンズとボーアは“バースの再来”となるのか?」。藪氏にこの疑問をぶつけてみると「まだそこまでとは言えないでしょう」と、笑いながら返事が戻ってきた。
球団史上最強の助っ人と呼ばれるバースは、1983年から6シーズン在籍。来日1年目から打率.288、35本塁打、83打点を記録すると、2年目には打率.326、27本塁打、73打点の成績を残し、1985年と86年には2年連続で3冠王に輝いた超優良助っ人だ。バースの域にこそ達しはしないが、「故障がちのマルテとは違い、2人とも今年はまずまず期待できるのではないでしょうか」と藪氏は言う。
この日、藪氏が注目したのは、2回にボーアが7号満塁弾を放った打席だ。カウント3-1から5球目の147キロ低めストレートを弾丸ライナーで右翼席へ運んだが、藪氏が「雰囲気があった」と振り返るのはグラウンドスラムの1球前の反応だった。
「初球からボールが3つ続いた後の4球目、やや高めの真っ直ぐをファウルしました。この時に、打ちそうな雰囲気はありましたね。ホームランにしたボールより少し難しい球でファウルにはなりましたが、いいスイングをしていました」
ボーアは今季2本目の満塁アーチでヤクルトを突き放したが、とどめを刺したのはサンズの一発だった。4回2死満塁で打席に立つと、カウント2-2からの5球目、148キロ外角高めストレートを振り抜き、右翼席へ運んだ。これで13-3とヤクルトを突き放した阪神は、さらに追加点を加えて20-5と大勝。追う2位・ヤクルトにゲーム差なしに詰め寄った。
「今年はCS(クライマックスシリーズ)がないので、昔のようにペナントレースで優勝しないと日本シリーズには行けない。どうやって巨人に追いつくか。ここからが大事な戦いになります」
2005年以来15年ぶりのリーグ優勝、そして2014年以来6年ぶりの日本シリーズ出場を目指すには、ボーア&サンズの活躍は欠かせないものになる。
(佐藤直子 / Naoko Sato)