トランプ大統領の始球式“妄言”に関係者困惑…オファーの事実なく二転三転
コロナ対応で注目浴びる感染症研究所所長への“やっかみ”から私的発言
米大統領のドナルド・トランプ氏が「ヤンキースタジアムで始球式をやる」と宣言。ところが実際にはそんなスケジュールはなく、ヤンキースとホワイトハウス双方で困惑が広がっている。米紙「ニューヨークタイムズ」が報じた。
記事によると、トランプ大統領は米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ氏が始球式を務めたヤンキースとナショナルズの開幕戦前、ホワイトハウスの記者会見室で「自分も始球式に招かれた」と発言。「(ヤンキースの球団社長である)ランディ・レビンは私の素晴らしい友人の1人だ。彼は私に始球式で投げないかと頼んできた。ヤンキースタジアムで、8月15日だったと思う」と記者団に語った。
ところが、ヤンキースは大統領にその日始球式のオファーはしておらず、ホワイトハウス側も寝耳に水。大統領の発言のあと、ホワイトハウスのスタッフは球団に「大統領は8月15日、すでに予定が入っている」と急遽連絡を入れ、その後大統領自ら正式にキャンセルを申し出た。
関係者によると、トランプ大統領は開幕戦で始球式を務めたファウチ氏が注目を浴びることを快く思っておらず、側近にヤンキースへ電話をさせ、以前レビン氏が彼に打診していた始球式のオファーを実行するように言ったという。しかし日時については全く決まっておらず、二転三転する事態を招くことになった。
トランプ大統領は自身のツイッターで「中国ウイルスに専念していて、ワクチンや経済などの会議の予定があるため、ニューヨークへ行って8月15日のヤンキース戦で始球式を行うことはできない」「また、後で行く!」と新型コロナウイルスに関する人種差別的な言葉とともに報告。これまでにも新型コロナウイルスへの対応から注目を浴びるファウチ氏に“嫉妬心”を露わにしてきたトランプ大統領。記事では両者とも野球ファンであることに触れつつ「トランプ大統領とファウチ氏の間の緊張は続いている」と伝えている。
MLBの始球式では1910年のタフト大統領以降、歴代大統領が投手役を務めてきたが、トランプ氏は就任以来一度もその機会がない。正式なオファーを経たのち、マウンドで躍動する姿を見たいものだ。
(Full-Count編集部)