球速75キロ? “遅球”を武器に挑んだ夏 市原八幡のサブマリンが名門相手に奮闘

山崎も自身の球速について「測ったことありませんが、相当遅いと…」

 5回は2死からの右前打1本に抑え、6回は先頭打者に内野安打で出塁を許したものの、後続を断ち0を並べた。結局7回表の市原八幡の攻撃が終わり、7回7点差以上のコールドが成立するまで粘った。6回を1人で120球かけて投げ抜き、13安打3奪三振5四死球11失点が高校最後の公式戦の投球内容となった。

 特にカーブには、拓大紅陵の打者が待ちきれずに空振りしたり、ボテボテのファウルにするシーンがあり、スタンドから「80キロも出ていないのでは……75キロくらいじゃないか?」との声が上がった。

 山崎は「球速を測ったことはありませんが、相当遅いと思います」と苦笑。大重監督は「拓大さんはレベルが高くて、いつも速い球を打つ練習をしている分、ひょっとしたらハマってくれるのではないかと思っていました。山崎本来のピッチングはしてくれたと思います」と、してやったりの表情を浮かべた。ただ、球が遅いのを突かれて、この日8盗塁と走りまくられたのは“両刃の剣”だった。

 攻撃陣も4回に、2死二、三塁から安藤の中前適時打で2点を返した。「ペンチの雰囲気が非常に良くて、毎日この雰囲気で野球をやれたら幸せだなと思いました」と大重監督。5回コールドをギリギリで回避し、7回コールドにしただけでも、名門に挑んだ市原八幡ナインの間には一定の満足感が広がっていた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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