代打の切り札から首位打者へ DeNA4番佐野を支えるラミレス監督との“共同作業”
本塁打は「期待しないでくださ~い!」
指揮官は「キャプテンとは、ともすれば孤独になってしまいがちだ。キャプテンに対してモノを言う人はあまりいないからだ。自分が打って結果が出ているうちはいいが、大事なのは調子が悪くなった時。佐野はキャプテンとしてはルーキーだから、そういう時にキャプテンはどうあるべきかをアドバイスしている」と説明する。
もちろん、ラミレス監督の指導は打撃の技術面にも及ぶ。この日の試合前にも、佐野と話し込むシーンがあった。「『最近安定して結果が出ているのは、腕の使い方がすごくいいからだ』という話をした」と明かした。ボールに対して、肘の出方から手首の返しまで理にかなっている。つまり「インサイドアウトがうまくできている」のだという。佐野にしてみれば、自分の好調の要因を理論的に解説してもらうことによって、自信が確信に変わり、好調の持続にもつながるのだろう。
打率は開幕直後から高かったが、本塁打をなかなか打てず、28試合目にようやく今季1号が出た。その後は12試合で5本塁打と量産化しているが、この日のお立ち台で「明日もホームランを期待してよろしいでしょうか?」と聞かれると、「しないでくださ~い!」とおどけた。
ラミレス監督の就任2年目に入団した佐野は、まさに“愛弟子”。シーズンを通してスタメンで出続けた経験がないだけに、これからが正念場と言える。2016年のドラフト9位で、全体87人中84番目の指名だった男の逆転サクセスストーリーは、まだ始まったばかり。師弟の二人三脚が続く。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)