甲子園で「ベンチ入りできないはずだった」…途中出場選手に降り注いだ拍手
見慣れない背番号20の選手は未来のエース?
広沢は「甲子園に僕は出場できると思っていなかったので、驚きました。選抜のメンバー発表の時、僕はベンチ入りに入っていませんでしたから、20人になったことで入れたと思っています。出場できてうれしかったです。ユニホームもこの通り、汚れていますし……」と視線を自分の体にやった。
途中出場した2人の3年生へ送られた声援や拍手、ユニホームについた土は、この2年半、高校野球と向き合った証として、ずっと彼らの胸に刻まれていく。
また、試合開始直後から、甲子園ではなかなか見慣れない背番号20の選手が投球練習をしていた。花咲徳栄の2年生・高安悠斗投手だった。
「投げる準備をしておきなさいと監督から言われていました。自分は選抜が(予定通り)行われていたら、メンバーに入れていなかったと思います。1週間前にベンチ入りできることになり『やってやるぞ』という気持ちになりました」
登板こそなかったが、同じグラウンドレベルに立てたことは財産となった。
「甲子園は迫力のあるところでした。今年は先輩に連れてきてもらったので、来年(新チーム)にこの経験を繋げられるようにしたいです」と183センチ、83キロの恵まれた体格の右腕はこう語った。大きな経験として、また強い花咲徳栄のピースとして、成長していくだろう。
交流試合でも、甲子園は甲子園。彼らがその場に立った事実は一生、変わることはない。誇りにして次のステップへ進んでもらいたい。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)