“特別な夏”に巡ってきた幼馴染の初対決 習志野・角田と市船橋・高田の絆
千葉県大会第2地区決勝で対戦した習志野の主将・角田と市船橋の高田は幼馴染
決勝トーナメントを戦うベスト8が決まった高校野球の千葉県大会。第2地区トーナメントの決勝で、優勝候補だった習志野が姿を消した。昨年の春、そして夏と2季連続で甲子園出場を果たし、秋の県大会でも頂点に立っていた千葉王者だったが、2-12(5回コールド)で市船橋に敗れた。予想だにしない展開にキャプテンの角田勇斗内野手は「恥ずかしくて、悔しいです」と昨夏の甲子園以来、大粒の涙を流した。
角田のモットーは「明るく、元気」。1年夏からベンチ入りし、秋からレギュラーを勝ち取ると不動の遊撃手として10年ぶりの選抜出場。初めての甲子園でも緊張せず、勝負強さを発揮し、選抜準優勝に貢献した。元気に先輩を鼓舞していた角田は、選抜での決勝後に涙する先輩の横で屈託のない明るい笑顔を浮かべながら「夏があるじゃないですか」と先輩を元気付けていた。
その元気と勝負強さは昨年の夏も変わらなかった。4連覇のかかる木更津総合との準決勝。1点ビハインドの9回だった。「ベンチを見たら先輩たちが泣いているんですもん。僕は塁に出る気まんまんだったのに」。言葉通りに出塁すると、2アウトにも関わらず二塁から全力疾走。同点のホームを踏むと、ホームベース上でガッツポーズし感情を思いっきり爆発させた。土壇場で同点に追いつき、その後サヨナラ勝ち。春夏連覇を決め、約束通りに先輩と甲子園の舞台に戻った。
その角田の元気の源が、兄弟のように仲の良い市船橋の高田海斗だ。地元・船橋の夏見台アタックスで野球を始めた2人はすぐに意気投合し、常に一緒にグラウンドに通い、家族ぐるみで仲を深めた。「投げても打っても走ってもすごくて、いつも付いていくばかりでした」と、当時の角田について高田は話す。中学に進学すると、2人は迷わず一緒に佐倉リトルシニアに入った。
佐倉シニアの同級生には、横浜高の中心選手となった度会隆輝や東海大相模の西川僚祐など、実力者も多かった。下級生から試合に出ていた度会、西川に2人に刺激を受けながら、角田も下級生でレギュラーを勝ち取り、中学3年時にはジャイアンツカップでも優勝した。
その夏の千葉県大会。ZOZOマリンスタジアムの最前列には、佐倉シニアの仲間と吹奏楽の演奏に合わせて踊り、同じシニアの先輩に大きな声で声援を送り続ける角田の姿があった。憧れの舞台を目の前にして角田はキラキラと目を輝かせて、元気いっぱいに言った。「ここでみんなに勝って甲子園でに行くので見ていてください」。