“特別な夏”に巡ってきた幼馴染の初対決 習志野・角田と市船橋・高田の絆

「絶対に直接対決しよう」と誓い、それぞれ高校野球の道へ

 高校は角田がシニアの6人の仲間とともに習志野へ、高田は兄と同じ市船橋へと進んだ。地元の強豪校に入った2人は自転車で20分の距離にいるものの、3、4か月に一度、食事をしにいくくらいしか会えなかった。それでも、お互い野球の話はあえてしなかった。

 2年生になっても、直接対決は叶わなかった。角田は甲子園で活躍し、高田はその姿をテレビで見ていた。「正直うらやましかったです。いつも習志野と戦う前に負けてしまって。でも直接戦うためには、自分たちが勝ち上がらなくてはいけない。新チームでは必ず勝って、習志野を倒して甲子園へという思いで練習を続けていました」。いつか習志野と戦い、勝って甲子園に行く――。高田の強い思いだった。

 一方で角田は新チームのキャプテンとなり、秋の県大会も優勝した。県内公式戦19連勝。しかし、順風満帆に見えた角田も悩みを抱えていた。「先輩がどれだけ良い環境を作ってくれていたかが分かりました。元気でいることは続けていましたが、元気だけではやっていけないことが分かりました。うまくできたか分からないけれど、けじめをつけて話すことを徹底してやってきました」。小林監督にも言われた甲子園に出場した翌年の難しさを感じていた。

 甲子園中止が発表された後の5月下旬、2人は久しぶりに会い、そして、20キロ以上離れた流山市までサイクリングに出かけた。甲子園の話も、野球の話もしなかった。ただ、他愛もない話を続けた。千葉県大会があるのか、直接対戦できるのかも分からない。ただ、久しぶりに一緒の時間を過ごし笑った。それが、居心地がよかった。

高田が二塁打を放ち二塁ベース上に2人の姿が…

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