元エース候補、大阪桐蔭・仲三河の責任感 チームメイトが語る陰の貢献
エース候補として期待も肩を痛め野手転向、大阪大会前には右足を負傷した
新型コロナウイルスの影響で中止となった選抜出場予定32校による「2020年甲子園高校野球交流試合」は17日、甲子園球場で大会最終日を迎え、第1試合では大阪桐蔭が4-2で東海大相模を振り切り勝利。東西の横綱対決を制した。
大阪桐蔭は初回、5番の吉安遼哉捕手の右前適時打で1点を先制。その後は大阪桐蔭・藤江星河投手、東海大相模・石田隼都投手の両左腕が好投を続け、膠着状態が続く。均衡が破れたのは7回。東海大相模が足を絡めてチャンスを作ると、6番神里陸捕手の2点適時右前打で逆転する。その裏に大阪桐蔭も犠飛で同点とするなど、両者一歩も譲らない勝負は終盤戦へ。8回、途中出場の大阪桐蔭・藪井駿之裕主将が執念の2点適時打を放ち、激闘を制した。
近年の高校野球界を牽引する存在の大阪桐蔭だが、絶対王者にも様々な困難があった。7回に代打で左前打を放ち、続く同点打への足掛かりを作った仲三河優太外野手は、U-15代表でもエースを務め、鳴り物入りで大阪桐蔭に進学。次期エース候補として期待されたが、1年夏に右肩痛を発症し野手転向を余儀なくされた。最後の夏となった大阪独自大会の直前にはトレーニング中に右足を怪我。大阪大会では出場機会がなかった。
度重なる困難を乗り越え聖地でヒットを放った仲三河は「守備はまだ難しい。試合前には代打で1打席あるかないかと言われていた。なかなか全体練習にも参加できず、チームに貢献したいと思っていた。いい当たりではなかったですが、打ててよかったです」と語ったが、その裏にはグラウンド内外での人知れぬ努力がある。
あるナインは「レギュラーなのに怪我をしたということに責任をすごく感じていた。毎日、夜に雨天練習場に行くと、一人で黙々とバッティング練習をしていました。もともとどちらかと言えばおとなしいタイプですが、代わりに出場することになった宮下や後輩にも積極的に声掛けしていて。だからこそヒットを打ったときはベンチも大盛り上がりで、その後の逆転にも影響したと思う」とチームへの貢献度を語る。
すでにプロ志望届を提出しており「しっかりケアして体を作って、実戦間隔を取り戻していきたい。木製にも慣れていかないと」と先を見据えた仲三河。怪我に泣いた高校野球での未練は、プロの舞台で返していくつもりだ。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)