プロ野球球団がなぜ“読書”なのか? 日本ハムが北海道で読書推進活動を続ける理由
ブックシェアリングや企画展の開催など様々な企画を立案し実施
こうして始まった読書促進キャンペーンは、初年度からさまざまな取り組みを行っていく。試合開催日の札幌ドームで、家庭で読み終えた本を引き取り、それらを北海道内の学校図書館などに無償で提供するブックシェアリングの呼びかけをすると、1700冊を超える本が集まった。
ほかに、監督・選手の推薦図書を載せたリーフレットを作成、その際に撮影した読書場面の写真をパネルにして提供し、北海道内64の図書館で企画展が開催された。札幌市で最も大きな中央図書館ではひと月半で入場者が1万人を超え、通常の所蔵展の3倍のペースを記録した。
2016年には、北海道で一斉読書を実施している学校の割合は小中学校とも全国平均を上回った一方で、「一日当たり10分以上読書している」「読書が好き」と回答した児童生徒の割合は下回る傾向にあった。そこで中田翔内野手、西川遥輝外野手など22選手が校内一斉読書の開始と終わりを告げるコメントや、規則正しい生活やスポーツ、勉強に一生懸命取り組んでほしいというメッセージを収録。校内放送用音源として北海道内すべての公立小中学校へ提供した。
「幼少期から読書の習慣をつけ、学力向上につなげてほしい」と企画した取り組みだったが、見田さんには思わぬ声が届いた。
「多くの図書館ではファイターズや野球に関する企画展をそれ以前から考えていたようですが、なかなか依頼する糸口がなかったそうで、球団からの提案はありがたかったという声も寄せられました。予想外のことでうれしかったです」
球団から北海道中に声をかけ活動を進めていくことで、結果的にファイターズと道民との距離が近づいた。普段の生活の中にファイターズが自然とある状態は特別なことで、それが道民にとって喜びになれば、それ以上に嬉しいことはない。球団から地域の方々に歩み寄り、声をかけていくことが、その後の札幌ドームでの盛り上がりへとつながっていったのだった。