「サニブラウンに勝った男」 ドラフト候補の中大・五十幡が語る盗塁論と家族への感謝

秋のリーグ戦では、首位打者と2桁盗塁を目標

「陸上では瞬発力を最大にするため、スタートの瞬間に体が伸びあがってしまうんですが、それだと帰塁ができない。盗塁は体が構えているところから体が引っ張られるような感覚でスタートを切ると皆さんおっしゃっていた。ボールを持っているのは投手ですが、投手のペースだけにはならないように、逆に自分のペースに投手を引き込めるようなリードなどを心がけている」

 自分の武器と向き合い、ようやく見えたプロ入りの可能性。車好きなこともある為、念願のプロ入りが叶った際には「車を購入してみようかな」と笑うが、そこにも五十幡なりの理由がある。小学校3年のときに母が病気で他界。男手一つで育ててくれた父は、中学時代に膨大な時間をシニアの練習への送迎に割いてくれたという。

「中学時代は埼玉北部の実家から都内のシニアの練習に通っていたんですが、専用のグラウンドがなく埼玉から千葉や東京の球場まで毎週送り迎えしてもらっていた。せっかくの土日なのに、父は4時起きの時もあり、1年間の走行距離は4万キロを超えてた。高校3年のときに免許を取ってから車に興味を持ったんですが、同時にそこで父の苦労がわかった。父には今までの感謝の気持ちを込めて、何かをプレゼントしたいですね。これからは逆に自分が父をサポートしていけるように」

 来る秋のリーグ戦では、首位打者と2桁盗塁を目標に掲げた五十幡。かつて日本一の足を誇った韋駄天は、プロの舞台へ加速を続ける。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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