病気乗り越えた川崎宗則が「ビビリでも挑戦」する訳 盟友・西岡が明かす人間性

「川崎さん以外に見たことがない」西岡が語る唯一無二の人間性

 2017年に国内に戦いの場を移した川崎は、新たな壁にぶつかった。自律神経の病気で体調を崩し、2018年3月にソフトバンクを退団。野球自体から離れた時期もあった。1年あまりの時を経て、昨季は台湾プロ野球の味全ドラゴンズでプレー。コーチ兼任と言っても、自分より20歳近くも歳の離れた若手と同じ目線に立ち、誰よりも声を出してグラウンドを盛り上げた。「ムネさん、ジジイ」とイジられるのが楽しくて仕方ないように、生き生きと白球を追う。NPBでなく、わざわざ異国でユニホームを着続ける理由――。

「いくところまでいって、あとは自分のしたい人生。誰に文句を言われる必要もない。まだ好きなことを追いかけられるほど、幸せな人生はない」

 挑戦こそが幸せ。その挑戦を探すコンパスが、偶然にも栃木を指し示した。歩みを止めない川崎は、唯一無二の存在だと西岡は言う。

「プロ野球選手も、原点をたどれば公園で野球をやった楽しさからスタートしている。でも、プロになり、それが仕事になり、苦痛な気持ちでグラウンドに立つ日も増えてきますし、楽しさを忘れがちになってしまうこともある。それはしょうがないことで、仕事を楽しむっていうのはすごく難しい部分ではある。ただ、それが仕事であっても公園であっても、ずっと楽しんで野球をできているのは、川崎さん以外に見たことがない」

 楽しむために、怖くても、辛くても挑む。一見矛盾しているようなロジックが、川崎ならではの信念ではないか。西岡がNPB返り咲きを掲げれば「僕もプロ目指しますよ、台湾のね」と、来季以降に思いを膨らます。栃木でのデビューは13日。まばゆい世界をともに歩んできた盟友とともに、3年ぶりに復帰した国内で新たな挑戦と向き合う。

(小西亮 / Ryo Konishi)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY